はじめに
今回紹介するのは鈴木祐さんの著書『科学的な適職』になります。
<著者のプロフィール>
鈴木 祐(すずき ゆう)
新進気鋭のサイエンスライター。1976年生まれ、慶應義塾大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアや生産性向上をテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がける。自身のブログ「パレオな男」で心理、健康、科学に関する最新の知見を紹介し続け、月間250万PVを達成。近年はヘルスケア企業などを中心に、科学的なエビデンスの見分け方などを伝える講演なども行っている。著書に『最高の体調』(クロスメディア・パブリッシング)、『ヤバい集中力』(SBクリエイティブ)他多数。
ちなみに、この本の著者はなんとあのメンタリストDaiGoさんと一緒に仕事をしている方だそうです。
僕は、現在就活生でインターンシップに申し込んでいます。
そんな中、世の中には星の数ほど企業があるため、どこにインターンを申し込めばよいのか悩んでいました。
そこで見つけたのが、今回紹介する本になります。
就活や転職で悩んでいる方には、必見の一冊になります。
それでは、以下の内容に分けて紹介していきます。
- 最高の職業の選び方
- 7つの大罪
- 7つの徳目
- 最悪の職場に共通する8つの悪
※本の要約ではなく、僕が吸収したことのアウトプットです。多少内容が異なっている部分や僕の意見が混ざっています。記事の削除を希望される著作権者の方は、お問い合わせフォームよりお知らせください。即刻、削除いたします。
最高の職業の選び方
よく言われる「適職」とはなんでしょうか?
自分の能力を発揮できる仕事でしょうか。
「好きなことを仕事に」と言われているように、自分の好みに合った仕事でしょうか。
残念ながら、これらは全て「適職」に当てはまらないそうです。
著者の指す「適職」とは、人生の幸福度をあげることのできる職業のことです。
本書を読むことで、意思決定の精度を上げることができます。
すると、人生の幸福度を高められる仕事を選ぶことができるのです。
また、本書は著者がこれまでに読んできたたくさんの論文や専門家へのインタビューを元につくられています。
つまり、科学的に解明されている定量的な回答をもとに、「適職」を選ぶためのポイントが紹介されています。
それは、以下の通りです。
- Access the truth(幻想から目覚める:7つの大罪)
- Widen your future(未来を広げる:7つの徳目)
- Avoid evil(悪を取り除く:最悪の職場に共通する8つの悪)
- Keep human bias out(歪みに気づく:意思決定する際のバイアスを取り除く)
- Engage in your work(やりがいを再構築する:仕事の満足度を高める)
7つの大罪
それでは、以下の大罪を順に解説していきます。
- 好きを仕事にする
- 給料の多さで選ぶ
- 業界や職種で選び
- 仕事の楽しさで選ぶ
- 性格テストで選ぶ
- 直感で選ぶ
- 適正にあった仕事を求める
好きを仕事にする
よく「好きを仕事に」というフレーズを聞いていたので、これについては驚きでした。
本書では、ミシガン州立大学の研究が引用されていました。
まず、被験者を「適合派」と「成長派」という2つのグループに分けたそうです。
適合派:自分の好きな仕事をする人
成長派:仕事を続けているうちに好きになると考える人
両者の幸福度・年収・キャリアを比べると、成長派の方が高いパフォーマンスを発揮したそうです。
また、ロイファナ大学の研究でも以下の結果が出ています。
- 仕事に対する熱量は、前の週に注いだ努力の量に比例していた
- 仕事への情熱は自分が注いだリソースの量に比例する
つまり、取り組めば取り組むほど、仕事への情熱は高まっていき、幸福につながるのです。
これを「グロウス・パッション」と言います。
僕はブログを始めて、1年が経ちました。
これまでに費やした時間を考えると、愛着が湧いてきます笑。
給料の多さで選ぶ
これも僕は心当たりがありました。
企業を調べるとき、必ず年収をチェックして高いところばかりに注目していました。
しかし、お金の幸福は相対的なものなようです。
高い給料をもらおうが、周りの人と比べて少なければ幸福度は下がってしまうのです。
また、限界効用の低下も指摘されていました。
贅沢をすれば、さらなる贅沢を望ようになります。
キリがないのです。
これは、以前紹介した『精神科医が見つけた3つの幸福』という本にも似たような内容がありました。
また、ダニエル・カーネマンの研究は有名なので、ぜひみてみてください。
業界や職種で選ぶ
僕は職業選びにおいて「ITサービス」「出版」分野に集中的にインターンを応募していました。
しかし、業界や職種で選ぶのは幸福度にあまり関係がないようです。
なぜなら、高い利益を出せる業界を予測することは専門家ですら難しいからだそうです。
ペンシルベニア大学の研究でも、専門家の予測はほぼ50%の確率でしか的中しないことがわかっています。
また、「歴史の終わり幻想」というものがあります。
人々は、現在の価値観や好みが最も優れていると錯覚してしまうの生き物だそうです。
世界も日々変化していれば、自分自身も日々変化しているのです!
仕事の楽しさで選ぶ
これについては、以前紹介した『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』という本を紹介したのでわかる方もいるかもしれません。
ストレスが多すぎても、少なすぎても健康に良くありません。
適量が望まれます。
性格テストで選ぶ
本書では、「エニアグラム」「マイヤーズ・ブリッグス(MBTI)」「RIASEC」などが取り上げられていますが、どれも適職を選ぶ上では有効ではないそうです。
直感で選ぶ
世の中には、とてもたくさんの企業の数が存在します。
僕は悩んだ挙句、直感でインターンシップに応募することも少なくありません。
しかし、ボーリング・グリーン州立第k学の研究で、5つの意思決定スタイル(合理的、直感的、依存的、回避的、自発的)のうち、合理的な意思決定スタイルが最も良い成果を挙げたそうです。
適正にあった仕事を求める
みなさんは「ストレングスファインダー」というギャラップ者が開発した「強み」を教えてくれるサービスを知っているでしょうか?
とても素晴らしいサービスですが、そもそも強みをいかしたら仕事がうまくいくとも限りません。
実際、研究の結果以下のことがわかっています。
- 「強み」と仕事の満足度には有意な関係があるものの、その相関はとても小さい
- その組織の中に自分と同じ「強み」を持った同僚が少ない場合には、仕事の満足度が上がる
よって、セリングマンはこう言います。
「『強み』をもとに仕事を選ぶことは推奨しないが、今あなたが働いている会社の中で仕事の満足度を高めるために使うのならば有用だろう」
7つの徳目
キャリア選択の失敗のほとんどの原因が「視野狭窄」だそうです。
それでは、「仕事の満足度」について調べた259のメタ分析で明らかになった需要なポイントについて紹介します。
- 自由
- 達成
- 焦点
- 明確
- 多様
- 仲間
- 貢献
自由
何よりも需要なポイントです。
ロンドン大学の研究で、自由がないことはタバコよりも健康への影響が大きいことがわかりました。
みなさんは「マインクラフト」というゲームを知っていいるでしょうか。
「マインクラフト」が人気の理由の1つに、自由があるかもしれません。
達成
コロンビア大学の研究で「ポイントカード」の話は知っているでしょうか?
被験者に2種類のポイントカードを渡します。
- コーヒーを10杯買えば無料で1杯をサービスするカード
- コーヒーを12杯買えば無料で1杯をサービス、ただし、すでに2つのスタンプが押されているカード
結果はなんと、後者の方がスタンプの貯まるスピードが早かったそうです。
焦点
今回は割愛しますが、本書には「制御焦点」という性格テストが掲載されています。
攻撃型と防御型のどちらに当てはまるかを診断するものです。
ちなみに、僕は攻撃型でした。
なので、進歩や成長を実感しやすい仕事を探します。
明確
スタンフォード大学の行ったメタ分析では、信賞必罰が明確でない企業で働く社員は、死亡率や精神病の発症率が高かったことがわかりました。
良い例かわかりませんが、森友学園の問題で赤城さんという方が自殺をした事件は記憶に残っている方も多いでしょう。
森友学園については、以下の動画がわかりやすかったです。
上司から公文書を書き換えるよう指示を出されるような職場も、上司から指示が明確になっているとは言えません。
多様
人間には「快楽のウォーキングマシン」という性質があるそうです。
これは、どのような変化にも人間はすぐに慣れてしまう性質を指したものです。
確かに、僕は第一志望の大学に合格しHappyな気分で生活していましたが、今やすっかり慣れてしまいました。
自分もバイトの経験から、色々な業務に携われる方が面白い気がします。
仲間
アメリカで行われた調査によると、職場に友達が3人以上いる人は、人生の満足度が96%も上がり、給料への満足度も2倍になるそうです。
バイトでも、仲の良い友人が同じシフトに入っていると、バイトするのが楽しみになります!!
貢献
もちろん、社会に必要のない仕事などありません。
しかし、自分の幸福度を上げるためにも貢献が可視化しやすい仕事がおすすめされていました。
徳目整理
以上を踏まえまとめると以下のようになります。
- 労働時間はどこまで好きに選べるのか?(自由)
- 仕事のペースはどこまで社員の裁量にゆだねられるのか?(自由)
- 仕事のフィードバックはどのように得られるのか?(達成)
- 仕事の成果とフィードバックが切り離されていないか?(達成)
- 会社に明確なビジョンはあるか?そのビジョンを実現するために、どのようなシステム化を行っているか?(明確)
- 人事評価はどのようになされているか?個人の貢献と失敗を目に見える形で判断できる仕組みは整っているか?(明確)
- プロジェクトの川上から川下まで関与できるか?(多様)
- その組織には、自分に似た人がどれぐらいいそうか?(仲間)
- その仕事がどれぐらい他人の生活に影響を与えられるか?(貢献)
最悪の職場に共通する8つの悪
先ほどは、幸福度を高めるためのポイントを紹介しました。
しかし、「ネガティブはポジティブに勝る」という言葉がある用意に、悪いポイントを取り除かなければ、幸福度は上がりません。
- 時間の乱れ
- 職務の乱れ
大体この2つに分類できます。
時間の乱れ
時間の乱れに関しては、「通勤時間」や「労働時間」、「シフトワークの乱れ」があります。
昼夜逆転した、シフトワークをこなしている方もいるかもしれませんが、あまり健康に良くないそうです。
また、週41時間以上の労働は脳卒中のリスクを高めます。
時間の乱れについて「ワークライフバランスの崩壊」を絶対に忘れてはいけません。
プライベートと仕事を切り分けせずに働くことは、うつ病などにかかるリスクが大きく高まります。
休日に上司から連絡が来る職場は論外だそうです。
職務の乱れ
これについては、「仕事のコントロール権がない」ことや「組織内に不公平が多い」ことなどが挙げられます。
また、フリーランスが流行ってきていますが、「雇用が不安定」なことも健康に良くありません。
フリーランスで幸福度を上げている人は、高度な技術を持っていてフリーな働き方によるメリットを得やすい人たちだそうです。
さらに「ソーシャルサポート(心理的安全)」の充実している会社に勤めることも重要です。
出世競争が激しすぎる会社やフィードバックのない会社は避けた方が良いでしょう。
おわりに
最後まで読んでくださり、ありがというございます。
本書では、先ほど紹介した内容の他に「幸福な仕事を探すための方法」や「バイアスを取り除くための方法」「仕事の満足度を判断する方法」なども紹介されています。
僕個人としては、マトリックス分析を活用していこうと思いました。
また、みなさんは「理論と実践の乖離」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
これは、主に教育心理学の分野で使われる言葉です。
教育において効果的だという理論も、実践するとうまくいかないということがあるという意味です。
何事も、理論をベースに自分の状況に合うようにカスタマイズする必要があるでしょう。
就活生のみなさん、一緒に頑張っていきましょう。
本書を見た後に、こちらの動画もおすすめです。
【著作権者(著者、訳者、出版社)の方へ】
当記事では、本が好きという方に対して面白い本を紹介することを目的としています。
書籍上の表現をそのまま使うのではなく、自分の言葉で描き直すように心がけています。
また、本に対してネガティブな印象を与えないことはもちろん、ポジティブな印象を与えられるように記事を執筆しています。
しかし、万が一行き届かない点があり、記事の削除を望む所有者様がいましたら、お手数ですが、
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・メール:
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までご連絡いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いします。
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