はじめに
今回紹介するのは、杉村太郎さんと藤本健司さんの著書『絶対内定2024』です。
<著者のプロフィール>
杉村 太郎(すぎむら たろう)
(株)ジャパンビジネスラボ創業者、我究館、プレゼンス創業者・元会長。
1963年東京生まれ。慶應義塾大学理工学部管理工学科卒。米国ハーバード大学ケネディ行政大学院修了(MPA)。87年、住友商事入社。損害保険会社に転職し、経営戦略と人材育成・採用を担当。90年、シャインズを結成し、『私の彼はサラリーマン』でCDデビュー。
92年、(株)ジャパンビジネスラボ及び「我究館」を設立。就職活動に初めて”キャリアデザイン”の概念を導入し、独自の人材育成「我究(がきゅう)」を展開。94年『絶対内定95』を上梓。97年、我究館社会人校を開校。2001年、TOEIC®︎/TOEFL®︎/英会話/中国語コーチングスクール「プレゼンス」を設立。08年にハーバード大学ウェザーヘッド国際問題研究所客員研究員に就任、日米の雇用・教育問題と政策について研究。11年8月急逝。
著書は「絶対内定」シリーズ、『新TOEIC®︎テスト900点 新TOEFL®︎テスト100点への王道』(ともにダイヤモンド社)、『ハーバード・ケネディスクールでは、何をどう教えているのか』(共著、英治出版)、『アツイコトバ』(一部電子書籍はダイヤモンド社より発行)等。
藤本 健司(ふじもと けんじ)
我究館館長。千葉大学教育学部卒業後、(株)毎日コムネット入社。営業に配属され、2年目に優秀社員賞、3年目に社長賞を受賞。2012年「世界の教育問題に対峙したい」との思いから、青年海外協力隊としてケニア共和国で活動。3年間、JICAや現地の省庁と連携し、児童福祉施設における情操教育やカウンセリングに携わり、「人は志や気づきによって大きな成長を遂げられる」ことを実感する。2016年より(株)ジャパンビジネスラボに参画。我究館学生校の主担当コーチとして大学生をサポート。2017年10月より副館長を務め、2021年5月より現職。外資系投資銀行、コンサルティングファーム、総合商社、広告代理店など、難関企業に多数の内定実績がある。著書に「絶対内定」シリーズがある。
ツイッター @Kenji_Fujimon
僕は、就職活動を始めた大学3年生の6月ごろにこの本を購入しました。
就職活動を始めたいものの、なにからすれば良いかわからなかったからです。
この本は『絶対内定』という本のタイトルから、内定を勝ち取るための本だと思う方が多いでしょう。
しかし、そんな表面的なものではありません。
自分と向き合い、夢を描き、それに向かって進んでいくための本です。
いわゆる自己分析の重要性が説かれています。
就職活動で結果を出すためには必見の一冊です。
就活生にはもちろん、すでに会社で働いている方にもおすすめです。
それでは、以下の内容に絞って僕が学んだ内容を紹介していきます。
- 内定をもらうこと以上に大切なこと
- 就職するとは?
- 内定を獲得するために必要なこと
- 結果を出すための重要な考え方
- 「学生時代に頑張ったことがない」という方へ
※本の要約ではなく、僕が吸収したことのアウトプットです。多少内容が異なっている部分や僕の意見が混ざっています。記事の削除を希望される著作権者の方は、お問い合わせフォームよりお知らせください。即刻、削除いたします。
内定をもらうこと以上に大切なこと
大事なことは内定をもらうことではない
就職活動において、大事なことは会社から内定をもらうことではありません。
ではなにが大切か?
それは、自分がどうなりたいかをイメージすることです。
そんなことを言うと「夢なんてないよ。今の現状で満足だ」という声が聞こえてきそうです。
たしかに、日本に住んでいて友達と楽しく遊べているとそれで満足でしょう。
しかし、現状の幸せと将来の夢、この二つを追い求めてこそより充実した人生になると著者はいいます。
どうしたら夢を描けるでしょうか。
まずは、自分と向き合うことが必要です。
自分の嫌な部分から目を逸らさず、現状を否定する。
そして、それを受け入れる。
そうしてはじめて、「なりたい自分」を描けるのです。
やりたいことがない?
夢を描くというと「やりたいことなんてないよ」と思う方もいるでしょう。
僕も就職活動を始めた当初、やりたいことはありませんでした。
ただし、やりたいこと探しを行えということではありません。
アーティストになりたい、漫画家になりたい、などなりたい職業を探すのでないのです。
まずは、3つの切り口で考えます。
- どんな人でありたいか… Being
- 手に入れたいものは何か… Having
- 社会に(どんな人たちに)どのような影響を与えたいか… Giving
僕でいうと、こんな感じになりました。
- Being: 物事をわかりやすくするプロ
- Having: 自由に暮らせるだけのお金と時間、幸せな家族、多様なコミュニティ
- Giving: 人々の視野を広げ、キャリアの幅を広げる
これらを軸に書籍編集者を志望して就職活動を行いました。
ふたをとれ
「どんな自分になりたいか」を描く際に、制限をかけてはいけません。
お金がない、時間がない、能力がない、など。
一旦、そのような制限を取り払った状態で自分がなにを望んでいるのかを考えるのです。
たとえば、海外旅行に行きたいと思った時にお金がないなとします。
そんな時、お金を理由に諦めてはいけません。
お金がなくても海外旅行に行く選択肢はいくらでもあります。
ちなみに、東南アジアであれば、往復4~7万円で航空券を取れます。
2週間旅行したとしても合計で14万円ほどです。
つまり、制限を取り払って考えた後、その目標を達成する方法はいくらでもあるのです。
「なりたい自分」を描くときは、制限をすベて取っ払って考えましょう。
就職するとは?
働くとは
「働く」とは何か。
それは、誰かの役に立つことでお金をもらうことです。
人間誰しも生きていく上で多くの人と関わります。
そのため、自分という存在は他者の存在を抜きに認識することはできません。
誰かの役に立っているときに、自分が自分であるとわかるものなのです。
就職するとは
では、「就職する」とはなんでしょうか。
それは、数ある選択肢の一つです。
「大学を卒業したからとりあえず就職する」
「やりたいことが分からないから、とりあえず就職する」
これらの考え方に著者は疑問を呈しています。
しっかり我究(自己分析)して、夢を描く。
そして、その夢を達成するベストな選択肢を考える。
それが特定の会社に就職することであれば就職という選択肢を選ぶ。
つまり、選択肢の一つに過ぎないのです。
自分の夢を達成するためにふさわしい選択肢を選ぶようにしましょう。
活躍できなければ面白くない
たとえ夢に向かって進路を決定したとしても、その場所で活躍できなければ面白くありません。
なぜか。
それは、優越感を得られるからかもしれませんが、それだけではありません。
他人と感動を分かち合うことや他人の役に立つことが喜びを運んできてくれるからです。
僕自身、中学時代はボーイズリーグで野球をしていました。
中学生になったばかりの頃は、「レギュラーをとってやる」という気持ちで練習していました。
しかし、残念ながら試合に出場するどころか一年生の秋に行われた新人戦でベンチに入ることすらできなかったのです。
同期の保護者と一緒にスタンドで応援したのを今でも覚えています。
このときに経験した悔しさは忘れられません。
その後、何度も監督の元に足を運び自分の課題を聞いたり、相談を何度も行いました。
その結果、レギュラーを勝ち取ることはできなかったものの、三塁コーチャーという役割を与えてもらいました。
そのおかげで、少しはチームに貢献でき楽しく野球生活を送れたと思います。
試合に出られない悔しさはありましたが、役割を与えてくださった監督に感謝しています。
自分語りになってしまい申し訳ないのですが、少しでも活躍できるポジションを見つけた方が面白いということを伝えたくて僕の経験を紹介しました。
伝えたいことは「活躍できないと面白くない」ということです。
勇気を持って自分本位に進路を決定していくべき
僕は、内定を獲得したあとにこの本を読み直しました。
もう一度、進路を考え直したかったからです。
お金はいい仕事を取るか、やってみたいことではあるがお金の少ない仕事を取るか迷っていたのです。
その際に、とても心に響いたことがあります。
それが「勇気を持って自分本位に進路を決定していくべき」というものです。
これに続くコトバを少し引用させていただきます。
他人と違う道を選んだ途端、人はいや応なしに強くなるものだ。精神面だけではない、頭も体も感覚も。自分の存在や生き方に、それまで以上に真剣になるものだ。大きな船から独りで海に飛び込むように。
『絶対内定2024』|杉本太郎、藤本健司 p105
自分の信じた道を歩むのはそう簡単なことではありません。
ただ、決めたのなら勇気を持ってその道を進んでいきましょう。
そうすることで人は強くなるのです。
僕も、やりたいことではあるがお金の少ない仕事を選んでみようと思います。
たとえ、他人の引いたレールの上を外れることがあっても、恐れることはありません。
自分でレールを作るのです。
内定を獲得するため必要なこと
自分の行きたい会社から内定を獲得するためには、本気で就職活動を行う必要があります。
では、本気で就職活動を行うとはどういうことなのでしょうか。
本気で就職活動に取り組むとは
それは、「全身全霊で学生生活を充実させること」なのです。
このことは、みんな心に刻んでおいて欲しいです。
僕は勘違いをしていました。
寝る間も惜しんで、自己分析をして企業分析をして、エントリーシートを書く。
それが本気で就職活動をすることだと思っていたのです。
もう一度考えてみましょう。
企業はどんな人を採用するのでしょうか。
それは、会社で活躍がイメージできるようは魅力ある人です。
就職活動だけに取り組んでいては、魅力のない人間になってしまいます。
僕は、後悔していることが一つあります。
それは、本気で就職活動に取り組むことを勘違いし、好きな人にアプローチすることができなかったことです。
僕は、3年生の11月から12月にかけて好きな人ができました。
しかし、自分の就活を優先し、もたもたしていました。
その間に、その人は違う人に取られてしまったのです。
自分の好きなことに全力で取り組む。
これが本気で就職活動に取り組むということです。
本の中には、就活期間中に富士山登山やイベント企画、ライブ活動に打ち込みながら自己分析や企業研究、社会人訪問を行い、大手広告代理店や総合商社の内定を獲得した人の例が掲載されています。
本気で学生生活を充実させることが、就職活動に本気で取り組むということなのです。
結果を出すための重要な考え方
自分の頭で考える
何をするにしても本質を捉えた頑張りが必要になります。
それは、自分の頭で考えることです。
人から「こうした方がいいよ」とアドバイスをもらったときに、「なぜか」を考えること。
「自分にとってもっといい方法はないか」を考えること。
以前も紹介しましたが、オリックスバファローズで活躍する山岡泰輔選手も似たようなことを言っていました。
野球に限らず、頭のいい人は自分のやり方をつくるのがうまいように感じます。
誰のために働くのか
就活期間中、特定の企業に入りたいという気持ちが強くなります。
そんなときに陥りがちなのが、会社に自分を合わせるということです。
たしかに、しっかり我究(自己分析)をしたら、少しは志望企業の求める人材になる必要があるでしょう。
しかし、なんのために働くのかを見失ってはいけません。
会社のために働くのではないのです。
自分の夢の達成のために、一番良いアプローチだから。
それがたままた会社の利益と重なっていただけ。
それだけなのです。
自価を高めるとは
この内容も特に印象に残りました。
自価(自分の価値)を高めるとは、自分を変えることではないのです。
自分に様々な要素を足していくこと。
それが、自価を高めるということなのです。
イメージとしては、割り箸入れに割り箸をどんどん追加していくイメージです。
「怠け者の自分」
「集中力のない自分」
など様々な要素を持っている自分を、まずは認めてあげることです。
その後に、欲しいと思う要素を追加してあげましょう。
人や環境のせいにしない
僕は思い返せば、よく人のせいにしていました。
誰かとごはんに行ったあと、「今日はつまらなかったなあ」と思ったことが何度かあります。
よく考えてみると、これはおかしな思考です。
誰かが自分の人生を楽しくしてくれるわけではありません。
自分で楽しくしなければいけないのです。
誰かに楽しくしてもらうのではなく、逆にみんなを楽しませてあげる。
「今日はつまらなかったな」ではなく、「今日は楽しめたなあ、みんな楽しめたかな」と考える。
人や環境を言い訳にしていては、自分自身が向上していかないのです。
「学生時代に頑張ったことがない」という方へ
面接で聞かれる「学チカ(学生の頃に力を入れて頑張ったこと)」を考えることに、僕も苦労しました。
サークルに入ってぼちぼち活動をしていたものの、部活動に入って真剣に上位を目指して取り組んでいたわけではありません。
加えて、アルバイトはしていたものの、長期インターンでバリバリ働いていたわけではありません。
よくいる文系の大学生でした。
ただ今振り返ってみれば、会社が欲しいのは仕事で活躍できる人材です。
仕事で活躍できる人とは
仕事で活躍できる人とは、すでに学生時代のうちにも、そのやりたいことのミニチュア版や擬似体験をしている人です。
商社に内定するような人であれば以下のような体験を大学時代にしています。
<やりたいことが「商社パーソンとして、世界優にあるニーズを発見してきて、新たなビジネスを生み出すこと」である人の例>
- サークルなどの組織を立ち上げた経験
- 旅行先で安い商品を購入し、ネットオークションで売って利益を出し、旅行費用の元をとった経験
- 国際交流サークルで、ホームパーティを20回開催した経験
面接官はこのことを経験的に知っています。
しかし、そのような経験をしていない人が大半だと僕は思います。
大学3年生であるなら、遅くありません。
やりたいこと、なりたい自分を考えて、それに向かって何かに取り組んでみましょう。
内定を勝ち取るためではありません。
なりたい自分になるためです。
一生懸命頑張ったことを伝えればよいというものではない
次に、一生懸命取り組んだことを面接官に伝えなければなりません。
ここで注意しなければいけないのは、頑張ったことをただ伝えれば良いのではないということです。
面接官というのは、エントリーシートを見て多くの先入観を持っています。
「野球部の学生であるから、上下関係に厳しい環境で育ったのかな」
「ピッチャーをやっていたということは、自我が強いタイプの子なのかな」
「強豪校に入っているから、周りと競争することが好きな子なのかな」
など、良くも悪くも様々です。
面接では、そんな先入観を考慮して、自分の違う一面を見せてあげることが重要です。
サービス精神を発揮して、面接官の予想のつかない一面を見せるのです。
そうすることで、相手に飽きさせず、相手を楽しませることができます。
そして、好印象を持ってもらうことができるのです。
就職も内定もただの通過点に過ぎない
学生生活を充実させ得るために、様々なことに一生懸命取り組んだとしましょう。
しかし、それでも志望先の企業から内定を獲得できないことがあります。
世界は残酷です。
でも、そこで全て終了なわけではありません。
また、特定の会社に内定できたとしても、それが完璧な会社である確率は稀です。
つまり、内定をもらって会社で働くことは、夢という全体を通してみれば通過点に過ぎないのです。
幻冬舎の編集者である箕輪厚介さんはYouTubeチャンネルで次のように発言していました。
就職とかというのは、会社で決まるというより、本当の自分の鍛えたい幹(核)となる部分をつくるための最初の場所。昔みたいに終身雇用でもなければ、転職するのが当たり前の時代。副業もする時代。1社目に入った会社によって人生が決まるという時代じゃない。
箕輪厚介の部屋|『自分が本当に強い場所を持つ大切さと就活』
「NNT(ない内定)だから全て終わり」でもなければ、「内定したから将来安泰」でもないのです。
おわりに
この本はとても分厚いです。
読み切るのが大変でしょう。
ワークシートに取り組むのも大変だと思います。
しかし、なりたい自分になるため、幸せな未来を掴むために多くの人に是非取り組んでほしいです。
3日間集中すれば、全て読み切り、ワークシートもやりきることができます。
皆さんも、夢に向かって頑張ってください。
【著作権者(著者、訳者、出版社)の方へ】
当記事では、本が好きという方に対して面白い本を紹介することを目的としています。
書籍上の表現をそのまま使うのではなく、自分の言葉で描き直すように心がけています。
また、本に対してネガティブな印象を与えないことはもちろん、ポジティブな印象を与えられるように記事を執筆しています。
しかし、万が一行き届かない点があり、記事の削除を望む所有者様がいましたら、お手数ですが、
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までご連絡いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いします。
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