【書評:49冊目】読みたいことを、書けば良い。(田中泰延)

目次

はじめに

今回紹介するのは、田中泰延さんの著書『読みたいことを、書けば良い。』になります。

<著者のプロフィール>

田中 泰延(たなか ひろのぶ)

1969年大阪生まれ。早稲田大学第二文学部卒。学生時代に6000冊の本を乱読。1993年株式会社電通入社。24年間コピーライター・CMプランナーとして活動。2016年に退職、「青年実業家」として自称フリーランスとしてインターネット上で執筆活動を開始。we bサイト『街角クリエイティブ』に連載する映画評「田中泰延のエンタメ新党」「ひろのぶ雑記」が累計330万PVの人気コラムになる。その他、奈良県・滋賀県・福島県など地方自治体と提携したPRコラム、写真メディア『SEIN』連載記事を執筆。映画・文学・音楽・美術・写真・就職など硬軟幅広いテーマの文章で読者の熱狂的な支持を得る。「明日のライターゼミ」講師。本書が初の著書。

僕は、ブログをやっているので、文章力を磨きたいと考え、この本を購入しました。

この本には、著者である田中さんが考える「書く」ことの本質が詰まっています。

結論は、本の名前にもあるように「読みたいことを、書けばいい。」です!

また、この本の面白いところは、著者が「大事なページだけ切り取って、あとは紙のリサイクルに出してね」と言うところです。

そして、その重要な場所というのが主に「コラム」なのです。

この本は、ライターで生計を立てようとしている方やブログなどで文章を書いている方におすすめです。

それでは、以下のポイントに分けて紹介します。

  • 「書く」ことの本質
  • コラム

※本の要約ではなく、僕が吸収したことのアウトプットです。多少内容が異なっている部分や僕の意見が混ざっています。記事の削除を希望される著作権者の方は、お問い合わせフォームよりお知らせください。即刻、削除いたします。

「書く」ことの本質

まず、「書く」とはどういうことなのでしょうか。

結論から言うと、「自分が読みたいから、書く」というものです。

実際、著者である田中さんは書くという作業があまり好きではないと言います。

たしかに、僕も本を読むのは好きなので気づいたら読み終わっていますが、ブログを書く筆はいっこうに進みません。

田中さんはもともと3大広告代理店と称される電通という会社でサラリーマンをしていました。

ですが、色んな人から〇〇について書いてくださいと依頼されるうちにライターとなっていたそうです。

どうせ書くなら、自分が読んで楽しいものを書いたほうがいい。

自分が読んで楽しくないものは、良いコンテンツにはならない。

「書く」とはまさに、1人で食べるだけなのに、自分のために料理をするようなものなのです。

実際、この本自体が田中さんが読みたくて書いたものになっています。

何を書くのか(What)

重要なのは、言葉の定義をしっかりとさせることです。

定義をしっかりと定めれば、みちを迷うことがなくなります。

多くの人が書くものと言えば、「随筆」です。

では、「随筆」の定義は何でしょうか。

辞書には以下のように書かれています。

随筆とは、形式の制約もなく内容も自然・人事・歴史・社会に関する見聞・批評・思索あるいは研究考証など、多岐にわたって筆の赴くままに書き記した散文の著作であり、筆者の個性や資質、才能の端的な表現ともなる。

日本大百科全書・世界大百科事典 – ジャパンナレッジ

しかし、著者は以下のように定義しています。

随筆

事象心象が交わるところに生まれる文章

事象とは、世の中の出来事などです。

心象とは、世の中の物事に触れた時に心が動き、それを言語化したものです。

事象を中心に書くのであれば、報道やルポルタージュになります。

このように書きたい人は、ジャーナリストや研究者を目指すことが良いでしょう。

反対に心象を中心に書くのであれば、創作やフィクションとなります。

これらを書きたい人は、小説家や詩人になるべきでしょう。

この二つのどちらにも当てはまらないのが随筆であり、それを書く人がライターと呼ばれるのです。


実際僕は、本を読んで(事象にふれて)感じたこと(心象)をブログにまとめています。

つまり、ライターと名乗れるのかもしれません。

大事なのは、言葉の意味を疑い、定義をはっきりさせることです。

誰に書くのか(Who)

察しのよい方はわかったかもしれません。

誰に書くのか、それは自分に対してです。

文章を書いて最初に読むのは間違いなく、自分です。

自分が読んで楽しくないものは、他人が読んで楽しいわけがありません。

そもそも、書く動機というのは「誰も私の言いたいことを誰も書いていない、じゃあ私が書こう」というものです。

つまり、誰かが書いていたら書く必要はないのです。

そこで重要になるのが、他人の評価の奴隷になってはいけないというものです。

評価は他人がするもので、評価の奴隷となって書いたものはつまらないものになります。

自分が読んで楽しめればいいのです。

まさに、プロダクト・アウトの考え方ですね。

どう書くのか(How)

ブログを書いていて、少し眠くなってきました。

僕はまだ自分が書いて面白いと思うものをかけていないのでしょうか。。


切り替えます。

では、どのように書けばいいのでしょうか。

2つあります。

  1. たくさん調べて書く
  2. 思考の過程を披露する
  3. 起承転結に書く

これだけです。

著者は「物書きは『調べる』ことが9割9分5厘6毛を占める」と言います。

なぜ調べるのでしょうか。

それは以下の2つの理由があります。

  1. 調べたことを書くことで、読み手が主役になれるから。
  2. 巨人の肩に乗るため

自分の感じたことをたらたら書いて面白いでしょうか。

つまらないです。

また、先ほど誰かが書いていれば書く必要はないとありました。

いろんな物事に文脈があります。

12世紀のフランスの哲学者、ベルナールの言葉に「巨人の肩に乗る」があります。

「巨人の肩に乗る」の意味

歴史の中で人類がやってきたことの積み重ねが巨人みたいなものだから、我々はその肩に乗って物事を見渡さない限り、進歩は望めない。

たくさん調べて、あとは思考の過程を書きましょう。

結論の重さは思考の過程に支えられています

以下の動画は、高橋洋一さんがなぜ「ふるさと納税」という制度に詳しいのかが述べられています。

その中で、高橋さんは「思考が深いからしっかりとした結論を出せる」と言っています。

630回【神回】ヒゲの隊長が防衛納税を唱える!ふらさと納税創始者は遥か未来を見据えていた!

また、就活においてなぜ自己分析が重要になるのかにも言える話です。

就職浪人から就活無双した箕輪厚介さんの自己分析の極意がめちゃくちゃ参考になった

あとは、起承転結に書きましょう。

なぜ書くのか(Why)

人間は誰しもが孤独と向き合っています。

いくらサークルの飲み会で馬鹿騒ぎをしても、家に帰って寝る瞬間は1人です。

ですが、1人でいる時(孤独と向き合っている時)にこそ我々は、人間はそれまでに会った人の良さやその人への愛情、その人との思い出を感じます。

それらを書くことによって、誰かの目に留まり、その人と繋がることができるのです。

また、文章を書くたびに「それは誰かの役に立つか?今までになかったものなのか?」と考え続けることによって、書いたものに価値つくでしょう。

いつ、どこで書くのか(When, Where)

今そこで書くべきです。

書きたいと思った瞬間、筆を取りましょう。

コラム

ここまで、「書く」ことの本質についてまとめましたが、この本の最大の魅力はコラムだと僕は思います。

著者である田中さんは、もともとコピーライターだったこともあり、伝えたいことを短い言葉で伝えるプロです。

この本の多くは、重要なことに加えて田中さんが楽しめるように味付けされています。

そして、それらの味付けを取り除けば、重要なことのほとんどがコラムに書かれています。

広告の書き方

広告代理店に就職をしたい方は間違いなく買いの一冊です。

コラムだけでも読んで、本をリサイクルに出しましょう。

  • 伝える情報は1つ
  • 人の目を惹きつける(タレントを使う、犬や赤ちゃん)
  • 人の普遍的な本質(多くの人が気にしていること)
  • 発明よりも発見
  • 商品や企業を本気で愛する

などなど、、、

他にもたくさんの重要なことが書かれていました。

これ一冊で本にして欲しいほどです。

エントリーシート(ES)の書き方

就活生の僕にとって、とても参考になった部分。

大事なのは「今までの人生で触れた『事象』に対して触れた『心象』があなたの現在の立ち位置を決めている」ということ。

聞かれることは、「これまでのあなた」と「志望動機」です。

エントリーシートはキャッチコピー。

相手に尋ねさせることが重要。

実際の情景が浮かぶように、極限まで具体的に。

自分が自分を理解するためにエントリーシートを書きましょう

おわりに

「書く」ことだけでなく「生きる」ことの本質まで考えさせられる一冊でした。

【著作権者(著者、訳者、出版社)の方へ】

当記事では、本が好きという方に対して面白い本を紹介することを目的としています。

書籍上の表現をそのまま使うのではなく、自分の言葉で描き直すように心がけています。

また、本に対してネガティブな印象を与えないことはもちろん、ポジティブな印象を与えられるように記事を執筆しています。

しかし、万が一行き届かない点があり、記事の削除を望む所有者様がいましたら、お手数ですが、

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までご連絡いただけますと幸いです。

何卒よろしくお願いします。

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