【書評:48冊目】ひろゆきと考える竹中平蔵はなぜ嫌われるのか?(竹中平蔵、ひろゆき)

目次

はじめに

今回紹介する本は、竹中平蔵さんとひろゆきさんの著書『ひろゆきと考える竹中平蔵はなぜ嫌われるのか?』です。

<著者のプロフィール>

ひろゆき

本名:西村博之。1976年神奈川県生まれ。東京都北区赤羽で育つ。96年、中央大学に進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。99年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。19年、SNSサービス「ペンギン村」をリリース。著書に『1%の努力』、『無敵の独学術』、『ひろゆきのシン・未来予測』などがある。


竹中 平蔵(たけなか へいぞう)

1951年和歌山県生まれ。一橋大学経済学部卒業後、73年日本開発銀行入行。81年に退職後、大蔵省財政金融研究室主任研究官、ハーバード大学客員教授、慶應義塾大学総合政策学部教授などを経て、2001年より小泉内閣で経済財政政策担当大臣、郵政民営化担当大臣などを歴任。現在、慶應義塾大学名誉教授、世界経済フォーラム(ダボス会議)理事などを務める。著書に『平成の教訓 改革と愚策の30年』、『考えることこそ教養である』などがある。

僕は、小泉政権について調べる中で竹中さんを知るようになりました。

その後は、たびたび炎上しTwitterのトレンドで名前を見かけます。

この本は炎上のスペシャリスト2人による対談本です。

僕はTwitterをみている際に、よく竹中さんの名前を見ます。

竹中さんは、右と左とあらゆる方向からバッシングを受けていたのです。

こんなにも社会の発展に尽くしてきた人が、なぜ嫌われるのか。

その理由を考えることが、これからの社会で活躍する人が嫌われないためにも重要なことだと考え、この本を購入しました。

この本を読んだり、ネット上にある意見などを踏まえ、僕なりに解釈したものを紹介します。

  • 竹中平蔵さんが行ってきた政策
  • 竹中平蔵さんが嫌われる理由
  • ベーシックインカムの提案

※本の要約ではなく、僕が吸収したことのアウトプットです。多少内容が異なっている部分や僕の意見が混ざっています。記事の削除を希望される著作権者の方は、お問い合わせフォームよりお知らせください。即刻、削除いたします。

竹中平蔵さんが行ってきた政策

政治家として

竹中さんは主に、小泉内閣で活躍してきた人です。

2001年 【第1次小泉内閣】 経済財政政策担当大臣、IT担当大臣

2002年 【第1次小泉第1次改造内閣】 経済財政政策担当大臣、金融担当大臣

2003年 【第1次小泉第2次改造内閣】 経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、内閣府特命担当大臣

2004年 【第2次小泉改造内閣】 経済財政政策担当大臣、内閣府特命担当大臣、郵政民営化担当大臣

2005年 【第3次小泉内閣】 経済財政政策担当大臣、内閣府特命担当大臣、郵政民営化担当大臣

    【第3次小泉改造内閣】 総務大臣、郵政民営化担当大臣

竹中さんは主に、不良債権処理を行なっていたそうです。

また、本人曰く、新自由主義者と言われるが、経済学の基本的なことを主張してきただけといいます。

誤解されていること

竹中さんが誤解されていることの一つが派遣労働の解禁です。

竹中さんは、政治家時代に派遣労働の解禁には関係していないそうです。

もちろん、当時はさまざまな働き方が推奨されるようになり、派遣労働が多くの業界で解禁されていました。

そんな時代の中、小泉内閣でも2003年に労働者派遣法を改正し、これまで禁止だった製造業において派遣を解禁します。

ただし、重要なのは、この解禁は厚生労働省の仕事であり、当時内閣府特命担当大臣であった竹中さんは直接関わっていたわけではないということです。

また、竹中さんは最近まで、人材派遣会社である株式会社パソナの会長を務めていました。

おそらく、「派遣を解禁して、自分は人材派遣会社の会長をやっている」という負のイメージがついたことが、批判される理由の一つでしょう。

ですが、パソナでは製造業における人材派遣は行なっていないそうです。

労働者派遣法

1986年に施工され、当初はソフトウェア開発など特殊な技能が必要な13の業務に限定されていたが、1996年以降派遣可能な業種が拡大していった。小泉内閣の2003年の法改正では、派遣可能な期間が延長され、それまで禁止だった製造業も解禁となった。

竹中さんの労働に関する考え方

経済を成長させるためにも、多様な働き方を認めることが重要。

これまでの社会では、1979年の東京高裁の判例が大きな影響を持っていて、企業はなかなか社員を減らすことができなかった。

1979年の東京高裁の判例

東京高等裁判所は東洋酸素事件の判決の中で、経営上の理由で人員削減するための解雇(整理解雇)の条件として①人員整理の必要性、②解雇回避努力の履行、③被解雇者選定の合理性、④手続きの妥当性の4つがあり、それらを全て満たさない場合は無効(不当解雇)になると示した。

なかなか社員を減らすことができないと、利益を上げることが難しくなってしまう。

ここで重要なのは、働き方に選択肢を与えることと、そこに差別や待遇の差があることは別問題であるということです。

竹中平蔵さんが嫌われる理由

僕は、この本やさまざまなメディアを見る中で、竹中さんが嫌われる要因を4つ挙げることができました。

  1. 既得権益を持った人たちからのネガティブキャンペーン
  2. 一般庶民との間隔のずれ
  3. 能力の高い竹中さんに対する嫉妬
  4. 本人が嫌われても構わないと思っていること

既得権益を持った人たちからのネガティブキャンペーン

竹中さんはまさに「構造改革の代名詞」と言われるような人だと思います。

なんとWikipediaにの人物欄に、「趣味は野球観戦、音楽鑑賞、構造改革」と書いているほどです。

郵政民営化などで恨みを買ってしまったのでしょう。

また、竹中さんが直接関与したわけではないですが、製造業の派遣解禁で多くの人が職を失ったことも一つの要因でしょう。

政治家時代に既得権を持つ人たちと戦ったことで、既得権を失った一部の人からネガティブキャンペーンをされるようになってしまったのです。


では、既得権益と戦ってまでも構造改革派必要なのでしょうか。

これを考えるために話を少し脱線をします。

経済について考えます。

社会全体で豊かになるためには、経済成長をする必要があります。

そのために、設備投資などが有効でしょう。

しかし、経済成長を目指すと同時に、格差をなくすために分配政策も同時に行わなくてはなりません。

つまり、財源が限られている中で成長と分配を同時にバランスよく行わなくてはならないのです。

昔、アメリカにレーガン大統領という人がいました。

レーガン大統領は設備投資を促すために、企業に対して大幅な減税をします。

サプライサイド経済学と呼ばれるやつです。)

しかし、これは失敗します。

なぜなら、他の歳費を削って財源を確保せずに減税を行なったからです。

結果、財政赤字が増加し、金利が上昇したために、財政赤字貿易赤字を招いてしまいました。

これに対し、かつて財政赤字を克服した政治家がいます。

サイトでも紹介している『異端のすすめ』『交渉力』の著者である橋下徹さんです。

さまざまな歳費を削り、財政赤字を克服しました。

その歳費を削るという作業がまさに、既得権益との戦いであり、構造改革なのです。

一般庶民とのずれ

これは、本のなかでひろゆきさんが指摘していたのですが、竹中さんは自分自身のことをお金持ちであると言いません。

本人は謙遜の意味も込めているのでしょう。

しかし、今の世の中では、お金を持っている人は堂々と「持っている」と言う方が良い気がします。

そうすることで、正直者だと思われ、信用されるからです。

能力の高い竹中さんに対する嫉妬

3つ目の理由は、嫉妬です。

竹中さんは学者という立場でありながら、政治家という政策を実践する立場もあわせ持っていました。

まさに万能型だったのです。

少なからず、学者や研究者から嫉妬されていたことも考えられます。

本人が嫌われても構わないと思っていること

最後の理由ですが、これもなんだかんだ大きな理由だと思います。

竹中さんは、政治家を引退した後、パソナ創業者の南部靖之さんの熱い想いに共感してパソナ会長職を引き受けています。

しかし、派遣労働を解禁してきた内閣に身を置いた人間が派遣会社の会長を務めれば批判の声が上がることぐらい本人もわかっていたはずです。

まさに、確信犯的にやっているとも言えます。

そういった意味では、炎上商法の天才なのかもしれません。

また、僕は本の中にあった竹中さんの言葉が強く印象に残っています。

竹中平蔵

人生は意外と短い。そんな中、人目を気にして生きるのは面白くない。
人生は自己満足でいい。

・人に褒められるけど、満足しない人生
・人に褒められないけど、満足のいく人生

当然後者の方が良い

ベーシックインカムの提案

僕は、今後AIなどのデジタル技術が向上し、人の仕事がほとんど消滅すると考えます。

そして、そのような社会において、多くの人が好きなことに取り組めるようにするために必要な社会制度を考えていました。

そこで一つの案として上がったのが、ベーシックインカムです。

これまでも、ベーシックインカムについての本を紹介してきました。

ベーシクインカムには、財源や労働意欲の問題、現行の社会保障制度からどのように移行するのかなどの問題があります。

僕は、具体的にわかりやすくそれらの疑問に答えてくれる本を探していました。

そこでこの本に出会ったのです。

ひろゆきさんの提案

ひろゆきさんは2ちゃんねるの人たちと2017年につくった案を提案していました。

■支給額

月額7万円想定 18歳未満は3割

■必要予算

93.76兆円 (日本人人口1億2502万人 うち0〜17歳:1915万人×25.2万円、18歳〜:1億0587万人×87万円)

■財源

  • 医療費全員3割負担 16兆円
  • 生活保護費カット 4兆円
  • 相続税1.5倍 3兆円
  • 厚生年金と国民年金の支給額をベーシックインカムと同額にする 20.1兆円
  • 固定資産税5.6% 25.5兆円
  • 解雇規制をなくすことで法人税(※) 10.8兆円(その後、倍に 10.8兆円増)
  • タバコを一箱1320円にすることで 6.45兆円
  • パチンコ税35% 6.3兆円

※法人税をあげるわけではなく、企業の利益が上がり、税収が上がるということ

■その他の財源候補

  • ペットショップ税
  • 投資益を分離課税(20%固定)から、他の所得と合算しての累進課税に(ただし額の算出が難しく、年によっては変動が激しい)
  • 富裕税(一定以上の資産に対する課税。ただし資産の把握が困難で実現(復活)は難しい)
  • 消費増税、国際や政府紙幣(とりあえずこれらは使わない方向で検討中)

■給付対象

日本国籍所持者

___「ベーシックインカム案」(ニコニコ大百科)より一部改変

竹中さんのツッコミ

竹中さんはひろゆきさんの案について以下の指摘をしていました。

  • 固定資産税を上げてしまうと家賃が高くなってしまう恐れがある。
  • 40年ぐらいかけて年金から切り替える必要がある。
  • いずれにしても、ベーシックインカムを公約に掲げる政党が出てこないと実現しない。
  • ひろゆきさんのように、各政党が具体的な案を発表していけば良い。

おわりに

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

少しでも、皆さんの考えるきっかけになれば幸いです。

また、竹中さんはベーシックインカムの本を翻訳しているそうです。

ベーシックインカム本 翻訳していて気づいたその魅力とは?

【著作権者(著者、訳者、出版社)の方へ】

当記事では、本が好きという方に対して面白い本を紹介することを目的としています。

書籍上の表現をそのまま使うのではなく、自分の言葉で描き直すように心がけています。

また、本に対してネガティブな印象を与えないことはもちろん、ポジティブな印象を与えられるように記事を執筆しています。

しかし、万が一行き届かない点があり、記事の削除を望む所有者様がいましたら、お手数ですが、

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