【書評:63冊目】エフォートレス思考(グレッグ・マキューン)

目次

はじめに

今回は、40万部以上の大ヒット作『エッセンシャル思考』の著者が書いた続編『エフォートレス思考』を紹介します。

<著者のプロフィール>

グレッグ・マキューン(Greg McKeown)

McKeown Inc. のCEO。アドビ、アップル、グーグル、フェイスブック、ピクサー、セールスフォース・ドットコム、シマンテック、ツイッター、VMWare、ヤフーなど名だたる企業のコンサルティングをおこなう。著書『エッセンシャル思考』は全米ベストセラーとなり、ニューヨーク・タイムズ紙やファスト・カンパニー誌、フォーチュン誌などで取り上げられたほか、NPRやNBCなどの有名メディアでインタビューを受けた。ハーバード・ビジネス・レビューやリンクトインに人気ブログを寄稿し、ポッドキャスターとしても人気が高い。世界経済フォーラムの「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出された。


<訳者プロフィール>

髙橋 璃子(たかはし りこ)

翻訳家。京都大学卒業。ラインワール応用科学大学修士課程終了(MSc)。訳書に『エッセンシャル思考』『スタンフォード大学で一番人気の経済学入門』『NYの人気セラピストが教える 自分で心を手当てする方法』(いずれも小社刊)、『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』(河出書房新社)、『GDPー<小さくて大きな数字>の歴史』(みすず書房)、『ブロックチェーン・レボリューション』(ダイヤモンド社)などがある。x

この本のサブタイトルは、『努力を最小化して成果を最大化する』です。

どこかで似たような言葉を聞いたことがあります。

株式会社キーエンスの経営理念の1つ『最小の資本と人で最大の付加価値を上げる』とかなり似ています。

僕は、最近この動画を視聴しました。

【なぜキーエンスは高給与かつ高収益なのか】今こそ高給与が必要/賞与が年収の7割/「高収益=高給与」ではない/キーエンスの1日の仕組み/付加価値戦略×差別化戦略/世界一より世界初

なんとなく、『エフォートレス思考』と近い内容だったように思います。

つまり、生産性の低さが社会問題となり、1人あたりのGDPが各国に抜かれ続けている日本で生活する人にとって必要な本です。

以前『新・生産性立国論』という本にあったように、日本は生産性が低いということを紹介してきました。

それに対して「こんなに一生懸命働いているのに何事だ!」と怒っている方もいたでしょう。

「毎日しんどいよ」と感じている方もいたでしょう。

今回はそう思っている方にぜひ読んでほしい一冊です。

人間、無理しすぎるといつか限界が来ます。

壊れる前にこの本を開いてみてください。

それでは、以下のポイントに分けて紹介していきます。

  • エフォートレス思考とは
  • エフォートレスな精神
  • エフォートレスな行動
  • エフォートレスの仕組み化
  • 感想

※本の要約ではなく、僕が吸収したことのアウトプットです。多少内容が異なっている部分や僕の意見が混ざっています。記事の削除を希望される著作権者の方は、お問い合わせフォームよりお知らせください。即刻、削除いたします。

エフォートレス思考とは

エフォートレス思考とは、なんでしょうか。

それは、

やらなくてもいいことを困難に、やるべきことを簡単に

目標が大きければお大きいほど、苦労「しない」

そんな考え方のことです。

まさに、「ひろゆき」的な考え方と言えるでしょう。

ビッグロックの法則

瓶のような入れ物と大きい石、小さい石があるとしましょう。

この入れ物にこれらの石を交互に入れると全て入らなくなってしまいます。

しかし、大きい石を先にいれると全て入れることができます。

この話は、「ビッグロックの法則」と言い、『1%の努力』や『夢を叶えるドリームマネージャー手帳』のような本に出てきました。

『エフォートレス思考』の著者は以前、『エッセンシャル思考』という本を書き、ベストセラーを達成しています。

その結果、仕事が多く舞い込んでしまい、いくら不要な仕事を断っても大事なことに集中できなくなってしまったそうです。

つまり、大きい石が多すぎたのです。

エッセンシャル思考との違い

前著『エッセンシャル思考』は、1日や一生の中でどんな仕事をやるかを選ぶ思考法が書かれています。

それに対し、本書『エフォートレス思考』は、仕事をどのようにこなすのかを選ぶ思考です。

エフォートレスな精神

何事においても、ただがむしゃらに頑張れば大きな成果を掴むことができるわけではありません。

うまくいかなければ、やり方を変える必要があります。

まさに、「最小の努力」がポイントになります。

工夫して楽しくする

嫌なことも工夫次第で楽しくなる。

そんな内容が書かれていました。

振り返ってみれば、僕はアルバイトで飲食店でのホール業務と運送会社での仕分け業務をしています。

飲食店には一個上に先輩がいました。

その先輩はいつも、冗談を言ったり、業務をゲーム化して競ったりしていました。

工夫してアルバイト業務を楽しくしていたのです。

また、仕分けという単純作業においても友人は、ちょっとした楽しさを取り入れていました。

赤コーンで輪っか投げをしたり….

ゴミ箱めがけてゴミを投げたり….

ネガティブ感情との向き合い方

コンピュータと同じく、人間の脳みそにも容量があります。

イライラしたり、怒ったりすると、ネガティブ感情が脳の容量を圧迫します。

すると、良いパフォーマンスを発揮することができません。

会社は、パフォーマンスの低い社員を解雇します。

であれば、ネガティブな感情も脳の中から解雇するべきなのです。

超有名インフルエンサー・平本蓮さんがTikTokでこのように言っていました。

「嫌いな人こそ優しくします。許せるって大事なことですよ。憎む気持ちって人生で何も生まないですから。」

平本蓮さんは、エフォートレスな精神の持ち主なのでしょう。

エフォートレスな行動

僕がこの項目の中で印象に残ったのは、以下の2つです。

  • 失敗を積み重ねる
  • 上限を決める

失敗を積み重ねる

本書には「ゴミから始める」ことの重要性が説かれていました。

これは何事にも言えます。

例えばブログです。

100%の記事を目指して書こうとすると、筆が一向に進みません。

しかし、「ゴミでいいや」と思うとスラスラと書くことができます。

書かないよりは、まず書いたほうがいいのです。

僕は現在、卒業論文に追われています。

しかし、そんなものもこの「ゴミから始める」という気持ちを持って取り組んでいきます。

上限を決める

皆さんは、人類が初めて南極に到達した話を知ってるでしょうか。

なんとも衝撃的な話でした。

昔、南極上陸を目指した2つのチームがありました。

ロバート・スコット率いるチームとロアール・アムンセン率いるチームです。

各チームの特徴は以下になります。

スコットチーム:天気のいい日には限界まで進む。天気の悪い日には不満を日記に記す。

アムンセンチーム:天候に関わらず毎日正確に15マイル(約24キロ)ずつ進む。

結果、アムンセンのチームは南極を制覇し、スコットのチームは全員が死亡したのです。

この話から学べることは、物事に上限を決めることが重要だということです。

たしかに、「やる気がある時に一気にやった方がいい」という主張を理解することもできます。

しかし、長期目線で見ると燃え尽き症候群になったり、体力が限界を迎えたりしてしまいます。

であれば、やる物事に下限と上限をもうけて適度なペースを維持する方が良いのです。

兎と亀の寓話と同じです。

僕が大学受験の際にお世話になった英語教師・関正生さんも『真・英文法大全』を執筆する際に同じようなことを言っていました。

記憶が定かではないのですが、「1日1ページか1日一単元かを毎日書き続けられなければ、英語教師を引退する」と言っていた気がします。

僕は、以下のように下限値と上限値を設定してみました。

内容下限値上限値
卒業論文を書く1日1時間以上取り組む1日3時間以上は取り組まない
自分の上限値設定

エフォートレスの仕組み化

原理を理解する

これは、僕も最近思っていたことです。

世の中は、大量の情報で溢れています。

YouTubeを見れば多くの人が時事問題の解説をしている。

テレビをつければ、コメンテーターという人が持論を展開している。

選挙が近づけば、駅前で候補者が演説している。

いったい、誰を信じて物事をどう学べばいいのでしょうか。

その答えは、「物事の原理を理解する」です。

土台となる知識を身につけることができれば、その知識をさまざまなことに応用できます。

物事の理解がますます進みます。

原理を理解するための方法のひとつが、読書です。

古くから読み継がれている本を読み漁るといいでしょう。

なぜなら、今後も生き残る可能性が高いからです。

これを「リンディ効果」と言います。

リンディ効果

本の寿命は、その本の年齢に比例する。本が古ければ古いほど、その本が将来にわたって生き残る可能性が高いということだ。

また、さまざまな分野の原理を学ぶことで自分のやり方を見つけることができます。

本書には、走り高跳びで背面跳び(英語読み「フォスベリー・フロップ」)を初めて実践したディック・フォスベリー選手の話が紹介されていました。

この話をきいて僕はプロ野球選手・山本由伸選手を思い浮かべました。

日本球界のエース!山本由伸の未公開映像!投球の秘訣を語る。

投球動作の原理を理解し、自分なりに日々試行錯誤を繰り返しているように思えます。

山本選手の投げ方は「やり投げ」と言われるものであり、最初はさまざまな方面から投げ方に賛否の声がありました。

しかし、自分のやり方にたどり着いたことで、今では日本を代表する投手となっています。

このみんなのやり方を愚直に極めていくのではなく、誰もやっていなかったことを極めるということこそが、エフォートレスな行動と言えるでしょう。

うまくいかない時は、考え方を180度変えることが大切なのです。

自動化

努力を最小化するためにも、さまざまな事柄を自動化することは大切です。

お掃除ロボットや潜在自動投入洗濯乾燥機などの時短家電を購入する。

新NISAで毎月積立投資をする。

ETCカードを作成し、高速道路をスムーズに利用する。

友達と月一回の焼肉パーティを定期的に開催する。

翌日のタスクをリストアアップしてから睡眠する。

などなど、あげ出したらキリがないほど自動化できるものはたくさんあります。

意思決定を自動化することも重要です。

スティーブ・ジョブスが毎日同じ服を着ている話は、すでに有名なことでしょう。

ただし、注意点もあります。

それは、不必要なものまで自動化してしまうことです。

例えば、サブスクの解約忘れなどです。

僕は、就職活動時に「日経ビジネス」や「日経クロステック」を契約していたのですが、就職活動後に解約を忘れてしまい、とてもつもない額の請求が来たのを今でも覚えています。

仕組みをデザインする

信頼関係があることで、不必要なコストを削減できる場合があります。

例えば、会社で横領事件が起こったとしましょう。

すると、今後同じことが起こらないように、監視役を置かなければなりません。

しかし、これだとコストが多くかかってしまいます。

そうではなく、採用の段階から信用できる人を適所に配置すれば無駄なコストがかかりません。

仕事に限らず組織で何かを行う場合は、信頼関係はもちろん、みんなで同じ方向を向いて行う必要があります。

この点、まさにキーエンスの人事評価制度はすごいのだなと思いました。

みんなが同じ方向を向いて仕事ができるようにデザインされています。

「あなたの判断を信頼する」ーこの言葉を心から言えるとき、メンバーに責任感が生まれ、自信を持ってリスクを取れるようになる。成長し、信頼が強まる。そして、信頼が信頼を呼ぶ。

『エフォートレス思考』(グレッグ・マキューン)

感想

タイの日本人宿に泊まった時の話

僕は昨年、タイのバンコクに旅行しました。

日本人宿に泊まった際に、一人のゲイ男性に出会いました。

その方は、日本の大手保険会社につとめ、毎週末海外旅行をしていると言っていました。

そんな生活ができるのも、さまざまな業務を自動化しているからだそうです。

「エッセンシャル思考」と「エフォートレス思考」を実践しているのです。

累積思考

今回の本を読んで、直線的な頑張りでは直線的な成果しか得られないことを学びました。

そうではなく、累積的な頑張りをすれば、もっと楽に成果を手にすることができる。

僕が来年就職して編集者になった時、著者の方に「本を書いてください」とお願いする機会がきっとあると思います。

その際に、「本を一度書くことで、将来、多くの人があなたの考え方を知ることができる。絶対に書いた方がいいですよ。」と執筆依頼の誘い文句にしていきます。

おわりに

海外の本を翻訳した本は、読みにくいイメージがありましたが、この本はスラスラと読むことができました。

皆さんも一度読んでみることをお勧めします。

【著作権者(著者、訳者、出版社)の方へ】

当記事では、本が好きという方に対して面白い本を紹介することを目的としています。

書籍上の表現をそのまま使うのではなく、自分の言葉で描き直すように心がけています。

また、本に対してネガティブな印象を与えないことはもちろん、ポジティブな印象を与えられるように記事を執筆しています。

しかし、万が一行き届かない点があり、記事の削除を望む所有者様がいましたら、お手数ですが、

・Twitter DM:

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・メール:

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までご連絡いただけますと幸いです。

何卒よろしくお願いします。

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