はじめに
今回は、唐木元さんの著書『新しい文章力の教室』を紹介します。
<著者のプロフィール>
唐木元
1974年生まれ。株式会社ナターシャ取締役。大学在学中よりライターとして働き始める。卒業後は事務所「テキストとアイデア」を開設、雑誌を中心に執筆・編集の現場に従事した。2004年より編集者として、ライブドア・パブリッシング、幻冬舎、KI&Company(ジーノ編集部)と3つの出版社に勤務。2008年、株式会社ナターシャに参加し、編集長として「コミックナタリー」「おやつナタリー(終了)」「ナタリーストア」を立ち上げた。
ナタリー:https://natalie.mu/
「文章」をテーマにした本はたくさんありますが、この本は「バイブル」とも言えるほど良い書籍でした。
ライターや書籍編集者には必須の一冊です。
日本人は全員、カバンに入れて持ち歩くべきです。
- 良い文章とは
- 文章の3階層
- ロジカルな文章を書くために
- 文章を書き始める前にやること
- 次に学ぶこと
※本の要約ではなく、僕が吸収したことのアウトプットです。多少内容が異なっている部分や僕の意見が混ざっています。記事の削除を希望される著作権者の方は、お問い合わせフォームよりお知らせください。即刻、削除いたします。
良い文章とは
この本では、まず最初に「良い文章とは何か?」という問いが出されます。
もちろん、時と場合によりますし、人によって意見が異なります。
しかし、この本では「良い文章とは、完読される文章」として、話が進んでいきます。
文章を書く際に、著者と読者の間で「良い文章」の定義をそろえておく必要があるからです。
そうすれば、同じ目標に向かって話を進めることができます。
文章の3階層
文章には、以下の3つの階層があるそうです。
- 言葉づかい
- ロジック(論理)
- 事実
下から順番に積み上がっていくイメージです。
まず、根底に「事実」があります。
事実が間違っている文章に価値はありません。
次に、「ロジック」です。
いくら美しい言葉遣いをしていても、ロジックがうまく通っていないと読み進めることができません。
そして最後に、「言葉づかい」です。
正しい事実、正しいロジックがあり、最後に表層の部分である言葉づかいがきます。
逆に言えば、事実とロジックがしっかりしていれば、80点の文章を書くことができます。
事実確認はめんどくさい作業ですが、各自しっかりやるとして、ロジカルな文章を書くための秘訣を紹介します。
ロジカルな文章を書くために
ロジカルな文章を書くために重要なポイントは、「主眼」と「骨子(こっし)」です。
その文章で何を言うか、何を言うための文章なのかという目的のこと。
「コンセプト」であり、「切り口」とも言い換えられる。
書籍の企画を例に考えてみましょう。
あなたは、出版社で働いていて新しい書籍企画を考えているとします。
その際、何を一番に考えるべきでしょうか。
それは、「新しい書籍が必要だという理由」です。
もしくは、「本を作ることで読者にどうなって欲しいかという目的」です。
『コンセプトの教科書』という本に、このような記述がありました。
コンセプトの一般的な定義は「全体を貫く新しい観点」であると解説しました。現代のビジネスにおいて、その成り立ちの中心を捉えられるのは「なんのために存在するのか」を示す言葉です。
……(中略)……
コンセプトメイキングとは新たな意味を想像することなのです。
出典:『コンセプトの教科書』(細田高広/ダイヤモンド社)
コンセプトについて、同じことを言っています。
主眼を達成するための骨組みのこと。
文章における骨子は、
「要素」… 何を
「順番」… どれから
「軽重」… どのぐらい
の3つから構成されている。
主眼と骨子をうまく作ることができると、ロジカルな文章になります。
文章を書き始める前にやること
ここまでで、必要な前提知識の紹介が終わりました。
次に、文章を書く前にやることを紹介します。
書きながら考えるのではなく、書き始める前にしっかり準備することが大切だそうです。
要素を箇条書きする際は、「誰が」「何を」「いつ」「どこで」「なぜ」「どうやって」を意識すると、足りない要素を見つけることができるそうです。
足りない要素があれば、取材をするなどして情報を集めるようにしましょう。
著者は、「文章のオリジナリティは『切り口』に宿る」と言っています。
文章を書く際の一番重要な箇所と言えるかもしれません。
主眼に沿わない要素があれば、削ってしまいましょう。
一貫性のない文章は、最後まで読まれません。
本の編集や動画の編集も同じです。
メインの内容に関係ない部分は削る作業をします。
きのこ鍋に、あれもこれも入れてしまえば、それはきのこ鍋でなくなってしまいます。
ここが一番時間のかかる作業だそうです。
どのような順番で並べると、より読者に伝わりやすいか。
飽きないで最後まで読んでくれるか。
様々なことを考慮して、順番を考えます。
要素を絞り、順番を決めたら、最後は「軽重」です。
どのぐらい説明するかを決めます。
著者は、ABCの3段評価で見定めているそうです。
最もアピールしたい部分 : A
基本情報 : B
付加情報 : C
ここで解説した手順をこなす際は、以下の「構造シート」と呼ばれるものを作成すると良いそうです。
- 紙の上方に大きく線を引いて、テーマ(主眼)を書く欄を作ります。この段階では空欄のままとします。
- 箇条書きで、書こうとする話題を列挙していきます。
- 並んだ話題を眺めながらこれから書く文章の主眼を見定め、テーマ欄に書き込みます。
- どの話題から切り出していくべきか、主眼に準じるよう吟味し、項目の左横に順番を数字で書き込んでいきます。
- 紙を替え、テーマ欄に主眼を書き込み、順番通りに並べ直します。もししっくり来なければ、また順番を吟味して書き込み、紙を替えてやり直します。
- アピールしたい優先度を、項目の右側にABCの3ランクで格付けしていきます。
おまけに、「サビ頭」を紹介します。
文章を書く際、読者に「これ読みたいかも」と思わせる必要があります。
そこで、文章の中でもメインの部分を最初に持ってくる場合があります。
これを「サビ頭」と言います。
具体的には以下のような順序になります。
結論 → 問題提起 → 状況説明 → 付帯情報
次に学ぶこと
ここまでで、「事実」と「論理」がしっかりした文章を書けるようになります。
あとは、「言葉づかい」です。
この本では、第2章から第5章にかけて「言葉づかい」が解説されています。
また、『ていねいな文章大全』(石黒圭/ダイヤモンド社)という本も面白かったです。
おわりに
僕は会社の先輩におすすめされてこの本を読んだのですが、こんなにわかりやすい文章術の本は読んだことがありません。
ずっとカバンに入れて持ち歩こうと思います。
【著作権者(著者、訳者、出版社)の方へ】
当記事では、本が好きという方に対して面白い本を紹介することを目的としています。
書籍上の表現をそのまま使うのではなく、自分の言葉で描き直すように心がけています。
また、本に対してネガティブな印象を与えないことはもちろん、ポジティブな印象を与えられるように記事を執筆しています。
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