【書評:62冊目】かすり傷も痛かった(箕輪厚介)

目次

はじめに

今回は、幻冬舎所属の敏腕編集者・箕輪厚介さんの著書『かすり傷も痛かった』を紹介します。

<著者のプロフィール>

箕輪 厚介(みのわ こうすけ)

幻冬舎 編集者。早稲田大学卒業後、双葉社に入社。『ネオヒルズ・ジャパン』を創刊し完売。『たった一人の熱狂』(見城徹)、『逆転の仕事論』(堀江貴文)などの編集を手がける。幻冬舎に入社後は、新たな書籍レーベル「NewsPicks Books」を立ち上げ、編集長に就任。『多動力』(堀江貴文)、『日本再興戦略』(落合陽一)のほか、2019年んい一番売れたビジネス書『メモの魔力』(前田裕二)など次々とベストセラーを出す。自著『死ぬこと以外かすり傷』は14万部を突破。雑誌『サウナランド』は2021年のSaunner of the Yearを受賞。2022年『死なばもろとも』(ガーシー)を出版。

僕は、YouTubeチャンネル『岡田を追え』を見て、この本に興味を持ったので、購入しました。

箕輪厚介さんの出した本を本人から一番最初に頂く港区家賃3万7千円男

この本の面白いところは、箕輪さんの前著『死ぬこと以外かすり傷』に対して赤線を入れて解説しているところです。

前作の内容も全て収録されています。

こんな斬新な本を僕は見たことがありません。

前作の『死ぬこと以外かすり傷』が仕事論。

今回の『かすり傷も痛かった』は人生論を述べた本だそうです。

詳しい説明は以下の動画をご覧ください。

意識高い系ブーム後の「脱競争論」

この本は、競争社会に疲れた方自分の道を突き進んでいる方におすすめです。

それでは、以下の内容に絞って紹介していきます。

  • 「幸せ」について
  • 仕事を違う視点で捉える
  • 意識高い系ブーム後の「脱競争論」
  • 感想

※本の要約ではなく、僕が吸収したことのアウトプットです。多少内容が異なっている部分や僕の意見が混ざっています。記事の削除を希望される著作権者の方は、お問い合わせフォームよりお知らせください。即刻、削除いたします。

「幸せ」について

バカなことをして得る快楽は続かない

『死ぬこと以外かすり傷』では、人生に関して100年間の思い出づくりと考えていたそうです。

しかし、今回は「バカのことをしても、その快楽は長く続かない」と振り返っています。

僕が本書の中で印象に残った麻野耕司さんの言葉を引用させていただきます。

成長でも脱成長でもいいけど、人間は物語がないと幸せに生きられない。自分で物語を作れなくても会社とか宗教とか推し活とか他者の物語に参加することで生きがいを感じられる。

まさに、けんすうさんの著作で箕輪さんが担当編集した『物語思考』という本を買えと言われているようです。

似たようなことは、漫画進撃の巨人のキャラクターであるケニー・アッカーマンが言っていました。

みんな何かに酔っ払ってねぇと
やってらんなかったんだな…

みんな…何かの奴隷だった…
あいつでさえも…

出典:進撃の巨人 コミックス27巻©︎諌山創/講談社

つまり、日常があるからこそ、非日常に喜びを感じる。

非日常があるからこそ、日常に喜びを感じるのです。

そして、日常を支えるのは「物語」なのです。

「酒ウツ」の正体

本当に斬新で面白い内容でした。

「酒ウツ」に関してここまで真剣に書かれている本は他にないと思います。

さらに、箕輪さんは「酒ウツ」を方程式に落とし込んでいます。

酒ウツ

多量の飲酒 + 虚栄心 +(加害) ー 結果 + (太陽+水+無邪気な生き物) = 酒ウツの解消

もちろん、酒ウツの原因は緑色の部分です。

また、青色の部分を増やしていけば、酒ウツは解消されます。

これが、箕輪さんの考えた「酒ウツ」の理論です。

箕輪さんのポストはこちら。

https://x.com/minowanowa/status/1705751906600222775?s=20

幸福相対性理論

幸福とは相対的なものでしかないそうです。

どうしても過去の自分と比べたり、他者と比べたりしてしまいます。

そこで、箕輪さんが活用しているのが「あえてアウェイ」作戦です。

「あえてアウェイ」作戦

「あえてアウェイ」な状況で苦しむことにより、本業に戻った時にありがたみを感じるという作戦

例)

  • 書籍編集者の箕輪さんが歌手デビューする
  • 青汁王子がスラム街に行く

青汁王子が頻繁にスラム街に行っているのは、幸せの迷子になっているからだそうです。

箕輪さんのポストはこちら。

https://x.com/minowanowa/status/1705017632091729995?s=20

サウジアラビアの人々

本書には、サウジアラビアの人々の話が取り上げられていました。

サウジアラビアの人々は1日に5回もお祈りをするそうです。

箕輪さんは当初「それでは仕事にならないだろう」と思っていたそうです。

本当にその通りです。

しかし、サウジアラビアの人々は、神に対して自分がどうあるかを最も大切にしています。

誰かにビジネスで勝つとか負けるとかは人生の一部に過ぎないのです。

やりたいことがあろうがなかろうが、競争に勝とうが負けようが、大きな概念として宗教がある。

そういう幸せもあるのです。


少し脱線しますが、先日ABEMAの番組「世界の果てに、ひろゆき置いてきた」を視聴しました。

そこでは、ひろゆきさんとゲストの東出さんが「世界最貧国の一つであるマラウイの国の人々がとても親切である」と言っていました。

マラウイの80%の人々はキリスト教で20%の人々はイスラム教です。

マラウイの人々は、生活の大きな概念として宗教があります。

加えて、貨幣経済の浸透度が低く、資本主義の価値観とは少し異なるのでしょう。

だからこそ、親切な人々が多いのかなとも感じました。

もちろん、日本にも親切な人が大勢います。

しかし、日本のほとんどの人々は宗教を信仰していませんし、資本主義という競争社会で生きています。

世界には、いろいろな幸せがあり、自分にとってどんなことが幸せかを見つめることは大切だなと感じました。

「仕事」を違う視点で捉える

今やるな!

前作の『死ぬこと以外かすり傷』に、「やりたいことは今すぐやれ」という言葉がありました。

これは、仕事論としては正しいのでしょう。

『死ぬこと以外かすり傷』に、幻冬舎でアルバイトをしている子の話が出てきました。

その子は、社員登用されて編集者になることが夢だそうです。

箕輪さんはこれを「年功序列・終身雇用時代の遺物である」と言っています。

編集者になりたければ、著者を探して実際に原稿をもらって編集すれば良いのです。

ボール拾いや雑用をやっていては一流の野球選手にはなれません。

たしかに、ホリエモンも「将来の夢なんか、今すぐ叶えろ」と言っています。

しかし、本当にそうなのでしょうか。

仕事論としてはそれが正解なのでしょうが、人生論としてもっと大きな視点で見てみましょう。

箕輪さんは以下のように言葉を残しています。

「やらないで後悔するより、やって後悔したほうがいい」というような言葉を何度も本で読んできた。
実際そうなのかもしれないが、やらなかった後悔、やれなかった切なさも愛おしい。

なんという名言なのでしょう。

僕は今、インフルエンザに感染してしまい楽しみにしていた予定を全てキャンセルしてこの本を読み、記事を書いています。

行きたかった遊び、楽しみにしていた遊び、それらに行けなくて正直悔しいです。

しかし、そんな一人孤独に部屋にこもっている状態もどこか愛おしく感じます。

影響力を欲す前にやることがある

自分の能力をひたすら鍛えることによって圧倒的な成果を出し、影響力を手に入れることは仕事で成果をあげる上でとても大切なことでしょう。

実際、箕輪さんやヒカルさんは圧倒的な結果を出して影響力を高めていました。

しかし、今の時代は「Breaking Down」でバズり影響力を一瞬のうちに手に入れることができたりします。

(運も実力のうちかもしれませんが、)

ここで、重要なのは「影響力は水物」だと認識することです。

箕輪さんはヒット作を連発し続け時代の寵児となっていた頃、文春砲を食らいました。

マスコミなどの世間にもてはやされて作られたブランドは、地に堕ちてしまったのです。

ブランドは以下の要素で構成されています。

ブランド

一般に「デザイン、世界観、機能性」で作られていると言われている

つまり、文春砲を喰らうことで、「デザイン」と「世界観」が壊されてしまったのです。

しかし、書籍編集者として能力を高め続けていたことで仕事を失わずにすんだと言います(機能性)。

大事なのは「影響力は水物」であるということ。

似たような話は以下の動画にもありました。

【ヒカルのビジネス解体新書】1ヶ月住み着いて稼げる理由がわかりました。

意識高い系ブーム後の「脱競争論」

人が時代を作るのではなく、時代が人を作る

箕輪さんは「NewsPicks Book」を立ち上げて奮闘していた時代に「意識高い系」の象徴でした。

しかし、実際は「意識高い系」でもなければ「意識が高い」わけでもないそうです。

では、なぜ箕輪さんは「意識高い系ブーム」を引き起こすことができたのでしょうか。

いやそもそも、「意識高い系ブーム」を箕輪さんが引き起こしたのではありません。

「意識高い系ブーム」の時代の中に箕輪さんがいたのです。

人が時代を作るのではなく、時代が人を作るのです。

また、最近箕輪さんが本屋に行った時、コムドット・やまとさんの著書『聖域』が目に止まったそうです。

そこに書いてあった「遅ぇよ時代。」という言葉に衝撃を受けます。

結局時代は次々に塗り替えられていくのです。

僕は、これを聞いてアニメ『進撃の巨人』の名言を思い出しました。

私達は一生この島のお尋ね者

…たぶん順番が来たんだ
自分じゃ正しいことをやってきたつもりでも…

時代が変われば牢屋の中

出典:進撃の巨人 コミックス31巻©︎諌山創/講談社

意識が高いと嫌われる

意識が高いと嫌われる理由は、何でもかんでも競技化して競走しようとするからだそうです。

スケボーでもオリンピックのように点数を競う競技がありますが、同時にストリートパートを撮影して楽しむという文化もあります。

人生も同じなのです。

たしかに、この資本主義社会に生きている以上競争社会から逃れることはできません。

しかし、何でもかんでも競争していては疲れてしまいます。

箕輪さん自身、競争し続けても幸せにはならないということに気づいたそうです。

僕も、できればこの記事のPV数を伸ばしたいし、アフィリエイト収入を稼ぎたいです。

ですが、まあ自己満でアウトプットをただ行うのも良いかもしれません。

大事なのは「脱成長」ではなく、「脱競争」ということです。

自分の道を開拓していきましょう。

感想

仕事論と人生論

この本を読んで、結局時間の使い方なのだと思いました。

たった一回きりの人生。

仕事論としては、一つのことを突き詰め圧倒的な結果を出した方が良いでしょう。

そうすることで、仕事の幅も広がります。

実際、箕輪さんは編集者として圧倒的な結果を出したからこそYouTuberとしても価値が出せるし、ラーメン屋としてもブランド価値を出せるのです。

『エッセンシャル思考』にあるように矢印を一つの方向に積み重ねていった方が効率が良く、結果を出せます。

しかし、人生を俯瞰してみたときにそれだけが正解ではありません。

矢印を全方位に少しずつ伸ばし(いろいろなことに手を出し)、全て中途半端ににしてしまうのも一つの生き方です。

つまり、正解はないのです。

結局みんな不安や迷いを抱えながら日々葛藤して生きているのです。

この内容に関して面白い動画を発見したので、どうぞ。

【“上”を目指すな】「大谷翔平も藤井聡太も、“坂を登った人”ではない」呂布カルマ×若新雄純が“努力至上主義”に風穴を空ける

「努力は報われる」のか「努力は夢中に勝てない」のか

世の中には矛盾した言葉が多くあります。

箕輪さんが前著『死ぬこと以外かすり傷』で「熱狂しろ。努力は夢中に勝てない」と言ったと思えば、今回の『かすり傷も痛かった』で「時々休め。競争だけが全てじゃない」という。

本当に振り回されてしまいます。

ただ、『死ぬこと以外かすり傷』と『かすり傷も痛かった』を読んで、前回紹介した『20代で得た知見』と重なる部分があるなと感じました。

『20代で得た知見』という本の中で、僕の好きな一説を紹介します。

「人は信じたいものしか信じられないんだよ」
「だからこそ名言は自分の身体で試すしかない。試して良かったならその名言を着続ければいい。試してだめだったなら脱ぎ捨てれば良い」

『20代で得た知見』(F)

おわりに

『怪獣人間の手懐け方』に引き続き箕輪さんの本を取り上げさせていただきました。

『怪獣人間の手懐け方』はどちらかというと仕事論でしょう。

それに対して『かすり傷も痛かった』は人生論です。

また、今作は前作の『死ぬこと以外かすり傷』を全否定したり、後悔したりするものではありませんでした。

あくまで反省と振り返りをしたものです。

どちらの本にも救われる人はいるでしょう。

だからこそ、今回の本には前作も全て収録してあり、「好きな方を読んでください」と著者は言っているのだと思います。

僕自身、この本を読んで目次をたくさん立てられるような人生にしたいなと思いました。

【著作権者(著者、訳者、出版社)の方へ】

当記事では、本が好きという方に対して面白い本を紹介することを目的としています。

書籍上の表現をそのまま使うのではなく、自分の言葉で描き直すように心がけています。

また、本に対してネガティブな印象を与えないことはもちろん、ポジティブな印象を与えられるように記事を執筆しています。

しかし、万が一行き届かない点があり、記事の削除を望む所有者様がいましたら、お手数ですが、

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までご連絡いただけますと幸いです。

何卒よろしくお願いします。

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