はじめに
今回はコラボ企画第3弾です。
コラボしてくださるのは、おすぎ(@osugi_oyoko)さんです。
僕と同じく、書籍系のブロガーをやっていたのですが、もうやめてしまったようです(2022年7月4日現在)。
そして、今回おすすめしていただいたのは、ケリー・マクゴニガルさんの著書『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』です。
<著者のプロフィール>
ケリー・マクゴニガル(Kelly Mcgonigal,ph.D.)
ボストン大学で心理学とマスコミュニケーションを学び、スタンフォード大学で博士号(健康心理学)を取得。スタンフォード大学の心理学者。心理学、神経科学、医学の最新の知見を用いて、人々の健康や幸福、成功、人間関係の向上に役立つ実践的な戦略を提供する「サイエンス・ヘルプ」のリーダーとして、世界的に注目を集める。メデジアでも広く取り上げられて、「フォーブス」の「人々を最もインスパイアする女性20人」に選ばれている。TEDプレゼンテーション「ストレスと上手につきあう方法」は900万回超えの再生回数を記録。著書に、20ヵ国で刊行され日本でも60万部のベストセラーとなった『スタンフォードの自分を変える教室』をはじめ、『DVDブック 最高の自分を引き出す法』(ともに大和書房)、”The Neuroscience of Change”(オーディオ・ブック/未邦訳)などがある。大学の講義のほか、活発な講演活動のかたわら、心身相関を重視する立場から、グループフィットネス、ヨガの指導も行っている。
<訳者のプロフィール>
神崎 朗子(かんざき あきこ)
翻訳家。上智大学文学部英文学科卒業。訳書に『フランス人は10着しか服を持たない』『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』『スタンフォードの自分を変える教室』(以上、大和書房)、『ぼくたちが見た世界——自閉症者によって綴られた物語』(柏書房)などがある。
この本を読むことによって、僕はストレスに対する考え方を覆されました。
今までは、ストレスは体に悪いものと思い込んでしまっていましたが、他にもストレスの効果はあったのです。
この本は、「俺の抱えているストレスは軽いもんじゃないよ」と思っている方やストレスに思い悩まされている方にこそ読んでほしい一冊になっています。
もちろん、最初は本書を読むことでイライラするかもしれません。
しかし、徐々に考え方が変わっていくことに気づくはずです。
そして、人生に影響を与える一冊となることでしょう。
それでは、以下のポイントに分けて紹介していきます。
- ストレスは悪いものなのか?
- ストレスに対する考え方を改める
- ストレスを力に変える
※本の要約ではなく、僕が吸収したことのアウトプットです。多少内容が異なっている部分や僕の意見が混ざっています。記事の削除を希望される著作権者の方は、お問い合わせフォームよりお知らせください。即刻、削除いたします。
ストレスは悪いものなのか?
本書の結論
本書の結論を一言で表すと、「ストレスは諸刃の剣である」になります。
良い面もあれば、悪い面もあるのです。
確かに、ストレスには健康にとって害になります。
しかし、考え方を変えるとストレスを力に変えることができるのです。
考え方を変えると、人生が変わる
考え方を変えると、人生が変わる例はたくさんあります。
例えば、年を取ることをポジティブに捉えている人は、そうでない人に比べて長生きするということがわかっています。
では、ストレスに対する考え方を変えることはどのような影響があるのでしょうか。
本書には、ストレスに対する考え方を変えることによって得られる効果が、研究結果や実際の事例をもとに紹介されています。
著者がストレスに対する考え方を変えた理由
著者であるマクゴニガルさんも最初は、ストレスは健康にとって悪いものであり、どのようにストレスを避けることができるかを考えていました。
しかし、ある研究結果を知った時衝撃を受けたのです。
その研究は以下になります。
概要: 1998年アメリカで3万2人を対象に行われた。
内容: 以下の二つの質問を行った
①この1年間でどれくらいのストレスを感じましたか?
②ストレスは健康に悪いと思いますか?
そして8年後に追跡調査で、住民情報を使って生存者を確認した。
結果: 強度のストレスがある場合には43%も死亡率が高まっていた。ただしこの結果は、「ストレスは健康に悪い」と考えている人たちにのみ当てはまった。
著者はこの研究がストレスに対する考え方を変えるきっかけになったそうです。
ストレスの定義
ストレスという言葉はとても色々な使われ方をしています。
ストレスという言葉の指す意味が曖昧なのです。
しかし、これにはメリットがあります。
それは、ストレスという言葉にはとても広い意味があるため、ストレスに対する考え方を変えることは日常において大きな影響があることです。
しかし、それではあまりイメージがつきません。
そこで、著者が定義をしてくれています。
ストレスとは、自分にとって大切なものが脅かされたときに生じるもの
だそうです。
ストレスに対する考え方を改める
ストレスに対する考え方を変えることは、とても大きな変化があります。
具体的には、ストレスは悪いものだという考え方からストレスには良い面もあるという考え方に変えるのです。
このように、考え方を変えたことによって行動に大きな変化が現れた例があります。
分泌される化学物質が変わる
ある実験では、ストレスに対する態度によって脳内に分泌される物質が異なることがわかりました。
通常、人はストレスを感じると「コルチゾール」と「デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)」という物質が分泌されます。
糖代謝や脂質代謝を助け、体と脳がエネルギーを使いやすいような状態にする。また、ストレス時にあまり重要ではない生物的機能を抑える働きがある。
脳の成長を助ける男性ホルモン。ストレスの経験を通じて脳が成長するのを助ける。コルチゾールの作用を抑制し、創傷の治癒を早め、免疫機能を高める働きがある。
コルチゾールに対するDHEAの割合。成長指数が高いと、ストレスに負けず、頑張ることができる。また、ストレスを経験した後のレジリエンス(回復力)も高くなる。
ストレスに対して悪いイメージを持っている人は、コルチゾールの値が高いそうです。
つまり、成長指数の値が低いのです。
これについての解説は、こちらの動画がわかりやすくまとめてくれています。
マインドセット効果
つまり、ストレスに対する考え方を変えることによって、ストレスを実際に感じた時に成長指数の値が高くなります。
すると、集中力が高まり、パフォーマンスが向上するのです。
このように、考え方を変えることによって、行動に影響が出ることを「マインドセット効果」といいます。
みなさんは、「プラセボ効果」を知っているでしょうか。
有効な成分が含まれていない薬を、本物の薬として患者さんに服用してもらうと、実際に病気が治ってしまう場合があるというもの。
実際に「マインドセット効果」は「プラセボ効果」によく似ています。
しかし、「マインドセット効果」には「プラセボ効果」よりも大きなメリットが存在します。
それは、現在だけでなく、未来にもその効果が続くということです。
考え方を変えることによって生じる「マインドセット効果」はとても有効なのです。
少し話がそれますが、昨今「自己啓発書批判」をよく目にします。
しかし、自己啓発書を読むことは意味のないことなのでしょうか。
僕はそうは思いません。
みなさんは、「マインドセット効果」を知っています。
自己啓発書を読んで、考え方を変えることができれば、行動は変化するでしょう。
そして、人生に影響を与えることはあると信じています。
僕は「自己啓発書批判」を目にするたびに、こう思います。
「好きな本を読めば良いやん」と。
ストレス反応に関する誤解
僕は、前回『スマホ脳』という本を紹介した際に、「闘争・逃走反応」について取り上げました。
目の前にストレスを感じた時に、心臓の動きが早まり血液の循環が早くなる。それは、瞬時に力を出せるように身体中に血液を送っているのである。また、血管が収縮して出血に備える。つまり、体を緊張状態にする。驚異的な身体能力(火事場の馬鹿力)が発揮される。
太古の昔は、この反応によって自然の脅威などから逃れ、生き延びることができました。
しかし、現代においては「闘争・逃走反応」はあまり効率的であるとはいえません。
例えば、テスト前や試合前にこの反応が起こってもあまり意味がありません。
むしろ、無駄な体力を消費してしまいます。
また、前回はスマホをいじることによって、体が「闘争・逃走反応」を起こし、不眠症を引き起こすということなどを紹介しました。
このように、ストレス反応と現代社会がうまく噛み合っていないことを「ストレスのミスマッチ理論」といいます。
では、人間のストレス反応は「闘争・逃走反応」しかないのでしょうか。
これが大きな誤解だそうです。
人間のストレス反応は他にもあります。
例えば、以下の二つです。
命の危険がない場合に発動する。集中力アップ、恐怖心の低下。DHEAの割合が高くなる。「フロー」状態の発動。
主にオキシトシンという物質が分泌され、大きな役割を果たす。相手を思いやり、理解する力がつく。勇気が湧いてくる。自分のチームや仲間を守りたいと思う。オキシトシンには、心臓を守る役割がある。
イメージを掴むことはできたでしょうか。
ストレス反応は「闘争・逃走反応」だけではないのです。
オキシトシンについては、こちらの記事がおすすめです。
ストレスの役割
この章の最後に、ストレスの役割について紹介します。
主に三つあります。
- 成長できる
- 「チャレンジ反応」の効果を得られる
- 「思いやり・絆反応」の効果を得られる
最初に紹介した通り、ストレスに対する考え方を変えた場合、ストレスを感じた時にレジリエンスが大きくなります。
これを「ストレス免疫」といいます。
つまり、ストレスの悪い面だけを見るのではなく、良い面と悪い面を見ることによって、ストレスをうまく使いこなすことができるのです。
また、価値観をしっかり考えることで、苦しみの中にも意義を見つけることができます。
確かに、困難を乗り越えてきた人の話には深みがあり、面白いなと思ったことが多いです。
ここからわかることは、ストレスを避ける人生はつまらないということです。
自分の好きなことをしていても、必ず困難にぶち当たります。
しかし、自分の目的や意義を忘れずに思い返すことで、ストレスを力に変えて進むことができるのです。
練習に行くと必ず「楽しい」と思うのですが、練習に行く前にはなかなか思い腰が上がりません。
しかし、これからはしっかり思い腰を上げてサークルに行きたいと思います。
では、ストレスを感じたときにどのように「成長」につなげたり、「チャレンジ反応」や「思いやり・絆反応」を引き出すことができるのでしょうか。
次の章では、それについて紹介していきます。
ストレスを力に変える
不安を受け入れる
まず、大切になるのが不安を受け入れることです。
不安から逃げることは、時に自己破壊的な行動に走ってしまう原因になります。
例えば、タバコやアルコールに逃げます。
もっとひどい場合には、薬に手を出すでしょう。
そうではなく、不安を受け止め、それを力に変えることが必要なのです。
ある研究では、ストレスホルモンの量とテストの点数に関連があったそうです。
しかし、ここには注意点が必要です。
関連があったのは、ストレスに対する考え方を与える「マインドセット介入」を受けた生徒のみにあってはまったということです。
つまり、不安を避けずに向き合い、それを力に変えた生徒は点数が高かったのです。
これから受験を控える高校生には有益な実験です。
ここで、僕のピッチャー時代のエピソードを紹介します。
僕は、先月サークルの合宿でピッチャーをやらせてもらいました。
久しぶりのマウンドだったのでとてつもない緊張をしました。
常に、緊張を落ち着かせるように意識していました。
しかし、これは間違いだったのです。
結果は、ワンバンデッドボールを投げるに終わりました。
本来すべき行為は、緊張を抑えようとするのではなく、緊張を受け止めることです。
そうすることによって、興奮に変えることにでき、力になるのです。
これは、ジェットコースターにも当てはまると思います。
絶叫系のアトラクションを楽しめるかどうかは、不安を受け止め、興奮に変えられるかどうかだなと思いました。
(ただし、僕は絶叫系があまり好きではありません。)
チャレンジ反応を引き出す
「闘争・逃走反応」ではなく、「チャレンジ反応」を引き出すためにはどうすればよいのでしょうか。
それには主に、以下のことが重要になります。
- 自分の強みを理解する
- どれだけ準備をしてきたかを振り返る
- どれだけ多くの人に支えてもらってきたかを振り返る
東京オリンピックの新種目・スケートボード男子ストリートで金メダルを獲得した堀米雄斗さんも同じようなことを述べていました。
「チャレンジ反応」を引き出せると、自信が湧いてくるそうです。
みなさんも、是非試してみてください。
思いやり・絆反応を引き出す
ストレスに打ちのめされてしまう人の中には、「苦しんでいるのは自分だけだ」と考えてしまう人が多いそうです。
しかし、実際にそんなことはありません。
ストレスを感じたことのない人なんていないのです。
その証拠に、心理学の世界では「失敗や挫折」を「コモン・ヒューマニティ」というそうです。
また、他人の幸せは大きく見えるものです。
『スマホ脳』という書籍でも、SNSを多く使う人ほど孤独を感じると書いてありました。
みんな、SNSにはよい面を見せようとします。
悪いところをアップする人など滅多にいません。
そのため、みんな幸せで、自分は不幸だと感じてしまうのです。
対策としては以下のことが挙げられます。
- 「自分よりも大きな目標」を考える
- 他人の苦しみに気がつくこと
- 自分の苦しみを他人に打ち明けること
自分をよく見せようと他人と競うのではなく、「自分より大きな目標」を考えるのです。
そうすることによって、自分の役割を考え、意義を見出すことができます。
そして、辛い時にこそ、他人を頼ることによって「思いやり・絆反応」を引き出すことができます。
苦しんでいる人を避けて(ストレスが自分に感染することを避けて)いることを「思いやりの崩壊」といいます。
他人が苦しんでいたら、避けるのではなく、寄り添うことで自分も幸せになります。
なぜなら、「思いやり・絆反応」を引き起こすことで、ストレスに感染してもそれを力に変えることができるからです。
また、親切を行うことによって時間感覚も変わるそうです。
また僕のことになりますが、自分のエピソードを紹介させていただきます。
僕は、先月サークルの引退合宿がありました。
そこで、先輩がお別れの挨拶をするのですが、ある先輩(Kさん)のメッセージがとても印象に残りました。
「本当にみんなに色々なものを与えてもらって、感謝しかないです。」と言っていました。
全くそんなことないのです。
その先輩はみんなに多くのことを与えてきました。
積極的に後輩を気にかけ、寄り添っていました。
その結果、多くの人を集め、輪を作ったのです。
このメッセージにも、Kさんの人柄が出ていて本当に優しい人なのだと思いました。
成長する
最後にストレスを成長に変えることについてです。
ただし、ストレスが成長につながるのではありません。
ストレスに対する考え方によって、ストレスを成長にかえることができるのです。
その考え方は「ベネフィットファインディング」といいます。
ストレスの良い面と悪い面を見るという考え方です。
決して、悪い面を見ないということではありません。
この「ベネフィットファインディング」の考え方をすることで、試練を乗り越えることができます。
そして、強くたくましくなります。
まさに、『鬼滅の刃』がそうです。
主人公の炭治郎は、たくさんの試練を乗り越えることで、成長してきました。
妹を鬼にされるという、壮絶な苦痛を経験しています。
そして、そのストレスを力に変えて成長しています。
また、過去の辛い経験は自分を助ける効果があります。
それは、破局的な考え方をしないということです。
辛いことが余計辛いことに感じ、我慢できずに諦めてしまうこと。
鬼殺隊炎柱・煉獄杏寿郎が猗窩座に殺された時も、炭治郎は凄まじいレジリエンスを発揮し、ストレスを力に変えていました。
過去の辛い経験が生きたのかもしれません。
さいごに、ストレスを成長に利用するためには、ストーリーをシェアすることも大切です。
先ほど初回した僕のサークルでのエピソードでもう一つ、印象に残った先輩のメッセージがあるので、紹介させていただきます。
その先輩(Hさん)は、「最初はうまく馴染めなかったけど、先輩たちの雰囲気に憧れていた。そして、そんなサークルが好きだった。だから、その雰囲気を守ろうとしてきた。ついてきてくれてありがとう。」と言っていました。
その先輩は、練習中などすごく盛り上げていました。
積極的にヤジを飛ばし、盛り上げに貢献していました。
そんな先輩も、過去の馴染めない経験をしていたのです。
僕は驚きでした。
想像がつかなかったからです。
しかし、その先輩はストレスをうまく利用していたのです。
おわりに
さいごまで読んでいただき、ありがとうございました。
今回も長くなってしまいました。
しかし、本当に考え方を変えさせられる本でした。
ここまで、読んでくださった方はストレスには良い面もあることがわかるでしょう。
僕は、中学の頃、硬式の野球クラブチームに所属していました。
夏の大会では、一人スタンド応援を経験し、一年生大会では、一人だけ試合に出れないという悔しい経験をしました。
野球でその悔しさを晴らすことはできませんでしたが、今ではその経験が生きていたなと感じる場面が多々あります。
その一つが大学受験です。
僕は、目標のために集中力を発揮することができました。
そして、第一志望だった早稲田大学に合格することができました。
人生は運による要素もたくさんあると思います。
しかし、野球で培った経験は決して無駄ではなかったのです。
息子が試合に出れないのに、応援に足を運んでくれた親には今でも感謝しています。
この本には、たくさんの研究事例とエピソードが書かれています。
参考になるものがきっと見つかるでしょう。
ちなみに、僕の価値観は「楽しさ、情熱、愛」です。
みなさんも、自分の価値観を見つめ直し、困難を乗り越えていきましょう。
それではまた!!
【著作権者(著者、訳者、出版社)の方へ】
当記事では、本が好きという方に対して面白い本を紹介することを目的としています。
書籍上の表現をそのまま使うのではなく、自分の言葉で描き直すように心がけています。
また、本に対してネガティブな印象を与えないことはもちろん、ポジティブな印象を与えられるように記事を執筆しています。
しかし、万が一行き届かない点があり、記事の削除を望む所有者様がいましたら、お手数ですが、
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