【書評:7冊目】新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実(峰宗太郎、山中浩之)

目次

はじめに

今回紹介するのは、峰宗太郎さんと山中浩之さんの著書『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』になります。

<著者のプロフィール>

峰 宗太郎(みね そうたろう)

1981年、京都府生まれ。京都大学薬学部、名古屋大学医学部医学科卒業、東京大学大学院医学系研究科修了。国立国際医療研究センター病院、国立感染症研究所等を経て、2018年より米国立研究機関博士研究員。国内外で得たスタンダードな医療知見のもと、SNSやブログで正しい医療情報を発信している。いし(病理専門医)、薬剤師、医学博士、病理学、血液悪性腫瘍・感染症の病理診断、ウイルス学、免疫学。予防医療普及協会顧問。


山中 浩之(やまなか ひろゆき)

1964年、新潟生まれ。87年日経BP入社。以来、日経ビジネス、日本経済新聞社証券部、日経クリック、日経パソコンなどを経て、現在日経ビジネス編集部でウェブと書籍の編集に携わる。著書に『マツダ 心を燃やす逆転の経営』。

僕は今日7月26日にモデルナ製のワクチンを受けてきました。

ワクチンを受けるにあたってワクチンについて調べておきたいなと思い、本書を購入しました。

※結局はワクチンを受けてから、本書を読み終わりました。

本書は山中さんが峰先生にインタビューするかたちで話が進んでいきます。

山中さんは僕たちが聞きたいことを聞いてくれますし、峰先生はとてもわかりやすく解説をしてくれます。

峰先生はBSL-3という施設で新型コロナウイルスを扱って、実際に患者さんの抗体ができているのかを調べたり、ウイルスについて調べたりしていたそうです。

ちなみに、峰先生は病理医であり、治療などは専門外だそうです。

今回は本書の中で僕の気になった以下のことについて紹介します。

  • 新型コロナウイルスについて
  • 免疫とワクチンについて
  • PCR検査について

※本の要約ではなく、僕が吸収したことのアウトプットです。多少内容が異なっている部分や僕の意見が混ざっています。記事の削除を希望される著作権者の方は、お問い合わせフォームよりお知らせください。即刻、削除いたします。

新型コロナウイルスについて

まずは、現在流行している新型コロナウイルスについてです。

ウイルスは細胞を持たないので生物ではありません。

自らは細胞を持たないので、別の生物の細胞に侵入して増殖します。

皆さんは”COVID-19”という言葉を聞いたことがあるでしょう。

これは”SARS-CoV-2”というウイルスが引き起こす病気です。

風邪を引き起こすウイルスには「コロナウイルス」、「ライノウイルス」、「RSウイルス」、「ヒトメタニューモウイルス」などがあります。

コロナウイルスはすでに6種類が判明していました。

すでに見つかっている4種類に加えて、「重症急性呼吸器症候群(SARS)」と「中東呼吸器症候群(MERS)」を引き起こす原因となる2つのウイルスです。

そして新型コロナウイルスは、SARSを引き起こすコロナウイルス「SARS-CoV」によく似たウイルスであることから「SARS-CoV-2」と命名されました。

本書では、致死率や再生産数、感染経路などについても解説されています。

以下は用語の解説です。

致死率
  • 致命割合(CFR): 確定診断が出た患者の方の中での、なくられた方の比率。
  • 感染致命割合(IFR): 確定診断は出ていないけれど、感染したと思われる人を分母に取ったもの。すなわち推定値。
再生産数
  • 基本再生産数(R0): 集団全ての人に免疫がついていない状態において、1人の感染者から何人に感染させるかと言う平均値。
  • 実行再生産数: 免疫やワクチン、あるいは外出規制などの対応策がとられている現状での再生産数。
感染経路
  • 飛沫感染: 咳やくしゃみ、会話によって飛び散る飛沫によって人にうつる。
  • 接触感染: 汚染された手を介してうつる。
  • エアロゾル感染: 長時間滞留する細かい飛沫を吸入することでうつる。

僕たちにできる感染対策は以下の通りです。

  • 3密回避
  • マスク、手洗い、うがい
  • 睡眠と栄養

「え、こんなのでいいの?」と思ったかたもいるかもしれません。

ですが、自分たちができる感染対策は基本の基本にしっかり取り組むことなのです。

免疫とワクチンについて

現在多くの研究者の方達がこの感染症について研究を進めています。

免疫とワクチンの基本を以下にまとめました。

免疫
  • 自然免疫: 体内に侵入者が入ってきたら、とにかく攻撃する。(好中球、マクロファージ、樹状細胞など)
  • 獲得免疫: 特定の相手だけを攻撃する。液性免疫と細胞性免疫に分かれる。
獲得免疫
  • 液性免疫: 血液中で抗原と戦う。抗原に結合してその活動を抑えるのが「抗体」。病原体を破壊し、自然免疫を活性化させるのが「補体」。抗体の量を「抗体価」といい、免疫の中では唯一測定できる。
  • 細胞性免疫: 感染した細胞を破壊する。抗体を作るのが「B細胞」。感染した細胞を破壊することに関わっているのが「T細胞」。

次にワクチンについてです。

ワクチン
  • 生ワクチン: 生きたウイルスを弱毒化して体内に摂取する。
  • 不活化ワクチン: ウイルスを殺して、その成分を体内に摂取する。免疫の反応が弱いのでアジュバントなどの方法も同時に使用される。ワクチンの主流だが、コストがかかる。
  • 組換えワクチン: ウイルスの成分を人工的に作り、体内に接種する。不活化ワクチンと同様に免疫の反応が弱い。
  • 核酸ワクチン: テクノロジーの発達による新しいタイプのワクチン
核酸ワクチン
  • ベクターワクチン: ウイルスの設計図をアデノウイルスなどに運んでもらう。英アストラゼネカとオックスフォード大学の「ADZ1222」がこれにあたる。
  • DNAワクチン: DDSという方法でウイルスのDNAを運んでもらう。
  • mRNAワクチン: DDSという方法でウイルスのRNAを運んでもらう。米ファイザーと独ビオンテックの「BNT162b2」と米モデルナと米NIAIDの「mRNA-1273」がこれにあたる。
ワクチンの効果
  • 完全な感染予防: HPV(ヒトパピローマウイルス)による子宮頸がんのワクチンなどがある。
  • 発症防止: 麻疹と天然痘のワクチンなどがある。
  • 重症化予防: インフルエンザのワクチンなどがある。

重要なことは、人によってワクチンがどの程度効果を発揮するかが異なるということです。

また、核酸ワクチンは新しいタイプのワクチンであり、抗体価が増えることが確認されているが、まだまだわからない部分が多いというのが現状です。

ワクチンを開発するためにはウイルスと免疫について両方の研究が必要になります。

つまり、分野をまたがっているのです。

PCR検査について

峰先生の主張は「検査前確率の高いところに集中的に検査を行え」です。

自分の思っていいたPCR検査のイメージと専門家のPCR検査の捉え方が全然違うことに驚きました。

おわりに

「この世の中に完璧なものなどありません。」

「はっきりと白と黒に分かれることもありません。」

これが本書の隠されたメッセージだと僕は思いました。

これらについてはファクトフルネスという本でも書いてありました。

つまり、完璧な特効薬はなければ、神風が吹いて急に感染症が収束するということはないのです。

大事なことは効果的で安全なワクチンができるまで、地道に感染症対策をしていくこと。

また、それぞれが自分で情報収集を行い、集めた情報を自分の頭で咀嚼することです。

有名な専門家や権威ある人でも間違います。

もちろん、本書に出てくる峰先生や山中さんも時に間違えることがあります。

自分の目で疑って考えてみることは、玉石混交な情報が溢れる現代ではとても大切です。

最後に、進撃の巨人に出てくる駐屯兵団のドット・ピクシス司令の名言を引用したいと思います。

ピクシス司令

うまい嘘そのつき方を知っとるか?
時折り事実を混ぜて喋ることじゃ。

厚生労働省のサイトは以下になります。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html

内閣官房のサイトは以下になります。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/yusikisyakaigi.html

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