【書評:15冊目】交渉力(橋下徹)

目次

はじめに

今回は橋下徹さんの著書『交渉術』を紹介します。

<著者のプロフィール>

橋下 徹(はしもと とおる)

大阪府立北野高等学校、早稲田大学政治経済学部卒業。1998年、橋下綜合法律事務所を開設。2008年に38歳で大阪府知事、2011年に42歳で大阪市長に就任。大阪府庁1万人、大阪市役所3万8000人の組織を動かし、絶対に実現不可能と言われた大阪都構想住民投票の実施や行政組織・財政改革などを実行。2015年、大阪市長を任期満了で退任。現在は弁護士、タレントして活動。著書に『政権奪取論 強い野党の作り方』(朝日新書)、『沖縄問題、解決策はこれだ! これで沖縄は再生する。』(朝日出版社)など。

僕は、親におねだりするためにこの本を購入しました。

以前紹介した『異端のすすめ』という本に感動し、橋下さんの本をもう一冊購入したのです。

この本には、理論上の話ではなく、橋下さんが実際の経験から導き出した交渉術が書かれています。

交渉の本質を捉えた本です。

日々交渉の連続であるビジネスマン、仕事で板挟みになってしまう中間管理職の方転職活動をしている方、親に欲しいものがある方におすすめの一冊になります。

以下のポイントに分けて紹介します。

  • 交渉の種類
  • 交渉における3つのカギ
  • 交渉の手順
  • 板挟みになってしまったら?

※本の要約ではなく、僕が吸収したことのアウトプットです。多少内容が異なっている部分や僕の意見が混ざっています。記事の削除を希望される著作権者の方は、お問い合わせフォームよりお知らせください。即刻、削除いたします。

交渉の種類

まず、交渉の種類についてです。

交渉は大きく分けて2種類あります。

1つが、他人と敵対関係にあり、激しくぶつかり合う「敵対的交渉」です。

そしてもう1つが、他人と一緒に物事を進めていく際に必要となる「協調的交渉」です。

協調的交渉は”対等な関係”がとても重要になります。

目の前の交渉が、どちらに当てはまるのかを正確に見極めて交渉をしていきましょう!

交渉における3つカギ

交渉においてポイントになるのはなるのは以下の3つです。

  1. 相手に利益を与える
  2. 合法的に脅す
  3. お願いする

1については、交渉の基本になります。

なぜなら、交渉というものは相手に利益を与えることで、自分も恩恵を受けることができるものだからです。

しかし、自分が相手に利益をたくさん与えてしまうと、こちらがマイナスになってしまいます。

そこで「仮想利益」が重要になります。

つまり、あたかも自分が相手に利益を与えたかのように見せるのです。

例えば、相手をわざと困らせる状況をつくり、その状況を改善するなどです。

結構えげつないことですが、これが重要になるそうです。

ただし、相手が何を望んでいるかをしっかり把握しないとうまくいきません。

2については、「敵対的交渉」の際に有効です。

間違っても「協調的交渉」の際に使わないようにしましょう。

この技を使うときは、前提に自分の力が必要です。

他人の力を借りて相手を脅しても自分の力を見透かされて、かえって逆効果になります。

ジャイアンの力を借りるスネ夫になるのはカッコ悪いのです。

著書はトランプ前大統領が、交渉の達人だといっていました。

しかし、それはアメリカという強大な国のトップだからできることでもあるのです。

3つ目は、お願いです。

これは、カッコ悪い手段のように見えますが、立派な交渉術です。

ただし、使うのは最後の最後にしましょう。

交渉の手順

交渉の時に使える3つのポイントは先ほど紹介しました。

交渉の基本は「譲歩」です。

「譲歩」をたくさんすることによって、自分の「要望」を叶えることができます。

交渉するときの手順は以下の通りです。

交渉の手順
  1. 自分の「要望」に優先順位をつける。そして、絶対に譲れないラインを決め、あとのものは「譲歩」する覚悟を決める。
  2. 相手の価値観を理解し、相手の「要望」と相手が「譲歩」できるものを整理する。
  3. 譲歩カードをこちらから切る。仮想利益を有効に使う。より多くの要望を設定することも一つの手段。あとはどんどん譲歩カードを切っていく。
  4. 自分が守るべきものは絶対にまもる。あとは捨ててもいい。ただし、それでも交渉が成立しない時は、お願い作戦を使う。

以上が手順になります。

重要なことは、自分の「要望」と「譲歩」できるもの、相手の「要望」と「譲歩」できるものをマトリックスに整理することです。

これらを、整理できていれば交渉がうまくいきます。

もし、交渉が決裂してしまっても必ず”握手”で終わりましょう

世の中は、不思議なもので相手とどこでまた繋がるかわかりません。

この章の最後に、僕の経験を紹介します。

僕は、ある日コンタクトレンズを半年分購入しました。

金額は約30,000円ほどです。

僕にとっては、大金なので親に負担してもらい気持ちがありました。

しかし、親に頼んでもなかなか「お金を出してあげよう」と言ってくれません。

僕はは自分の要望と譲れるライン、親の要望と譲れるラインを整理しました。

すると、以下のことがわかりました。

  • 自分が譲れないこと(要望): お金を全額負担して欲しい
  • 自分が譲れること: 今すぐに退勤が欲しいわけではない
  • 親が譲れないこと(要望): 大金を一気に払うことはできない
  • 親が譲れること: 何ヶ月かに分けて分割でなら支払いは可能

このようにお互いの要望を整理することによって、お互いが譲歩できることがわかりました。

結果は、僕の親が3ヶ月に分けて1万円ずつ僕に支払ってくれることになりました。

この本を読んでおいて本当に良かったと、この時感じました笑。

板挟みになってしまったら?

自分の要望と相手の要望を整理しても、お互いの要望がぶつかり合ってしまい交渉がうまくいかない場合があります。

その時は、要素をさらに細かく分けることによって解決することができます。

僕のバイト先である焼肉屋さんの例を紹介します。

店長としては、店の売り上げを伸ばしたいので人件費を削減したいという気持ちがあります。

しかし、僕たち肉体労働をしている側からすると人を減らされることはとてもきついことです。

お互いの譲れないことがぶつかってしまいました。

そこで、要素に分解します。

ここでは、時間帯で分けて考えるのがいいでしょう。

僕たちは、お昼と夜の間の時間はお客さんが少ないので、「その時間の働く人の数を減らしても良い」ということを譲歩します。

その代わり、店長に「夜の忙しい時間帯に人を増やす」という要望を聞いてもらうのです。

つまり、交渉に行き詰まった時はさらに要素に分けることによって、解決できるのです。

おわりに

最後まで読んでいただきありがとうございます。

自分は、日々交渉の連続というわけではありません。

しかし、僕がコンタクトレンズの代金をめぐって親と交渉し、うまくまとめることができた経験は本当に嬉しいものでした。

皆様も本書を読んで交渉の術を身につけてみてください。

【著作権者(著者、訳者、出版社)の方へ】

当記事では、本が好きという方に対して面白い本を紹介することを目的としています。

書籍上の表現をそのまま使うのではなく、自分の言葉で描き直すように心がけています。

また、本に対してネガティブな印象を与えないことはもちろん、ポジティブな印象を与えられるように記事を執筆しています。

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