【書評:9冊目】ファクトフルネス(ハンス・ロスリング)

目次

はじめに

今回紹介する本はハンス・ロスリングさんの『ファクトフルネス』になります。

<著者のプロフィール>

ハンス・ロスリング

ハンスは1948年にスウェーデンのウプサラで生まれた。ウプサラ大学で統計と医学を学び、インドのバンガロールにある聖ヨハネ医科大学で公衆衛生を学んだあと、1976年に医師になった。1974年から1984年までの間に合計で18カ月仕事を休み、3人の子供の子育てに100%の時間を注いだ。1979年から1981年まではモザンビークのナカラで地域担当の医師として働き、それまで知られていなかった神経が麻痺する病気を発見した。それがコンゾだ。この病気の調査と研究によって1986年いハンスはウプサラ大学から博士号を取得した。1997年からストックホルムにあるカロリン須賀医科大学でグローバルヘルスの教授を務めた。専門は、経済発展と農業と貧困と健康の繋がりについての研究だった。ハンスはカロリンス医科大学で新しい授業科目を開講し、提携研究を立ち上げ、グローバルヘルスについての教科書を共著した。
2005年には、息子のオーラとその妻のアンナと共にギャップマインダー財団を設立した。財団の使命は、とんでもない知識不足と闘い、誰でも理解できるような「事実に基づく世界の見方」を広めることだ。ハンスは金融機関、事業会社、非政府組織で講演を行ってきた。彼の10回のTEDトークは、延べ3500万回も再生されている。
ハンスはまた、世界保健機関、ユニセフ、いくつかの国際援助期間のアドバイザーを務め、スウェーデンで国境なき医師団を立ち上げた。3本のBBCドキュメンタリー番組も制作した。2010年に『統計の楽しみ』、2013年に『パニックにならないで!人口についての真実』、そして2015年には『パニックにならないで!15年以内に品行を廃絶する方法』が放送された。ハンスはスウェーデン科学学会の国際分科会メンバーであり、スイスの世界経済フォーラムのグローバル・アジェンダ・ネットワークにも所属していた。2009年にはフォーリン・ポリシー誌からグローバル思想家100人のひとりに選ばれ、2011年にはファスト・カンパニー誌から世界で最もクリエイティブな100人にひとりに選ばれた。また2012年にはタイム誌が選ぶ世界で最も影響力の大きな100人のひとりになった。
ハンスと妻のアニエッタには3人の子供がいる。アンナとオーラとマグヌスだ。ハンスは2017年2月7日に他界した。


オーラ・ロスリング

オーラは1975年にスウェーデンのフディクスバルで生まれた。ギャップマインダー財団の共同創立者であり、2005年から2007年までと、2010年から現在まで財団のディレクターを務めている。
オーラはギャップマインダーのチンパンジークイズを開発し、知識不足を体系的に測定するプロジェクトやその認証プロセスを開発した。データを分析し、ハンスが行うTEDトークや講演の資料をつくってきた。1999年からは「トレンダライザー」として有名になった動くバブルチャートによるツールを開発してきた。世界中の数百万という学生たちが、世界の開発についての歴史と統計を理解するために、このツールを利用している。2007年にグーグルがトレンダライザーを買収し、オーラは2007年から2010年までグーグルのパブリックデータ・チームのリーダーを務めた。その後、ギャップマインダーに戻り、新たな無料教育ツールを開発している。オーラはさまざまな場所で講演を行い、ハンスと共同で行ったTEDトークは数百万回も再生されている。
オーラはギャップマインダーでの功績が認められ数々の賞を受けている。2016年にナイラス国際統合開発賞を、また2017年にはレジメ・スーパーコミュニケーター賞と、金の卵賞を受賞している。
オーラの妻はアンナ・ロスリング・ロンランド。オーラとアンナには3人の子供がいる。マックスとテッドとエバだ。


アンナ・ロスリング・ロンランド

アンナは1975年にスウェーデンのファールンで生まれた。ルンド大学で社会学を学び、ヨーテボリ大学で写真を学んだ。ギャップマインダーの共同創立者であり、バイス・プレジデントを務めている。
アンナは講演者であり、ギャップマインダーの利用者担当リーダーでもある。ギャプマインダーのさまざまなデータを利用者にわかりやすくするのがアンナの役目だ。アンナはオーラと共にハンスのTEDトークやその他の講演を監修してきた。また、ギャップマインダーのグラフィックやスライドを作成し、動くバブルチャートのユーザインターフェースも設計した。2007年にトレンダライザーがグーグルに買収されたあと、グーグルでシニア・ユーザビリティデザイナーを務めた。2010年にギャップマインダーに戻り、新しい無料の教育ツールを開発している。
アンナもまたギャップマインダーでの功績が認められ数々の賞を受けている。2017年にレジメ・スーパーコミュニケーター賞、金の卵賞、またファスト・カンパニー誌の世界を変えるアイデア賞を受賞した。


<訳者のプロフィール>

上杉 周作(うえすぎ しゅうさく)

IT技術者。カーネギーメロン大学でコンピューターサイエンス学士、ヒューマンコンピュータインタラクション修士取得。卒業後、シリコンバレーのPalantirTechnologies社にてプログラマー、Quora社にてデザイナー、EdSurge社にてプログラマーを経験。現在はフリーランスプログラマーとして活動するかたわら、不定期で実名ブログ「上杉周作」を更新中。


関 美和(せき みわ)

翻訳家。桜美林大学外国語学部准教授。慶應義塾大学文学部・法学部卒業。電通、スミス・バーニー勤務の後、ハーバード・ビジネス・スクールでMBA取得。モルガン・スタンレー投資銀行を経てクレイ・フィンレイ投資顧問東京支店長を務める。主な翻訳書に、『アイデアの99%』(英治社)、『TED TALKS』『Airbnb Story』(日経BP社)、『ハーバード式「超」効率仕事術』(早川書房)、『えんぴつの約束』(飛鳥新社)、『シェア』『MAKERS』『ゼロ・トゥ・ワン』(NHK出版)などがある。また、アジア女子大学(バングラデッシュ)支援財団の理事も務めている。

大学の授業でこの本をお勧めされたことをきっかけに、僕はこの本を読み始めました。

この本は、医師でありグローバルヘルスの教授、そして教育者としても著名であるハンスさんとその息子と息子の妻の3人によって書かれた本です。

ハンスさんは、世界保健機構やユニセフのアドバイザーを務め、スウェーデンで国境なき医師団やギャップマインダー財団を立ち上げました。

また、TEDトークも有名です。

さて、皆さんはどれほど世界について知っているでしょうか。

本書から一つだけクイズを紹介します。

質問:世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったでしょう?

A 約2倍になった
B あまり変わっていない
C 半分になった

このクイズの正解率は平均で7%ほどだったそうです。

チンパンジーが適当に選んでも正解率は33%になるはずです。

しかし、学者などの頭の良い人や政治家の人たちも間違えました。

もちろん、僕も間違えました(笑)。

ちなみに、答えはCです。

では、なぜ間違えてしまうのでしょうか。

なぜ、人々は世界を正しく理解することができないのでしょうか。

それは、ドラマチックな本能のせいだそうです。

人間には色々な本能があります。

この本では10個のドラマチックな本能とそれを克服する方法が書かれています。

ここでは以下の3つだけ取り上げたいと思います。

  • 分断本能
  • 犯人探し本能
  • 焦り本能

※本の要約ではなく、僕が吸収したことのアウトプットです。多少内容が異なっている部分や僕の意見が混ざっています。記事の削除を希望される著作権者の方は、お問い合わせフォームよりお知らせください。即刻、削除いたします。

分断本能

この本能のせいで人々は物事を2 つに分けたがってしまいます。

たとえば、「先進国」と「途上国」、「お金持ち」と「貧乏人」、「陰キャ」と「陽キャ」などです。

しかし、世の中は2つに分けられるほど単純ではありません。

お金持ちではないけれど、貧乏人でもない人は日本にたくさんいます。

陽キャと話すけれど、陰キャとも話す人がいます。

『新型コロナとワクチン』という本にも、はっきりと白と黒に分けられることはないと書いてありました。

対策としては、グラデーションを知るというのがあります。

極端な2つの数字には目を引かれてしまいますが、大半の人は当てはまらないのだと意識しましょう。

平均の比較も注意が必要です。

平均は一人一人のデータのばらつきを表しません。

分布にしてみると、意外にも重なっている部分が多いことがわかります。

ちなみに、政治の思想に関しては茂木誠さんの『政治思想マトリックス』がおすすめです。

今後紹介します。

犯人探し本能

この本能について意識することは感染症が流行している現在にとって、とても大切だなと思いました。

なぜなら、犯人を探すことは問題を解決することにつながらないからです。

菅総理大臣や西村新型コロナウイルス感染症対策担当大臣を責めてもこのウイルスが収束するわけではないのです。

犯人を探すのではなて、問題のあるシステムを見直すことが大切です。

誰かが悪いと責めることで、複雑な真実から目を逸らすことができるので安心します。

しかし、そうすることで正しいことに力を注げなくなってしまいます。

人ではなく、問題のことをみるということに関しては岩田健太郎さんの『新型コロナウイルスの真実』という本にもありました。

この本能を抑えるためには、社会を機能させている仕組みに目を向け、犯人ではなく原因を探す必要があます。

焦り本能

いつやるか?今でしょ!

これが焦り本能です。

確かに、すぐに行動に移すことは大切です。

堀江さんの著書『将来の夢なんか、いま叶えろ。』にも書いてありました。

しかし、焦ってしまい、考えるのをやめてしまってはいけません。

大抵の場合は、チャンスが一度しかないということはありません。

世の中の問題の答えは二者択一でもありません

危機的な状況に陥ると、この本能を使って危機感を煽ってくる人などがいます。

地球温暖化などがそうでしょう。

善意から、この本能を利用して危機感を煽っている人もいるでしょう。

大学の先生がある名言を言っていました。

「地獄への道は善意から」だそうです。

この本能の対策はデータを見ることです。

感染症が流行している現在、メディアによって恐怖感を植え付けられている人もいるかもしれません。

しかし、メディアが悪いわけでもありません。

一人一人がデータを見て、問題を解決していかなければいけないのです。

焦り本能を克服するためには、データを見て、未来について2つのシナリオを考えることが重要です。

最高のシナリオと最悪のシナリオを準備するのです。

また、地道な一歩を大切にしましょう。

おわりに

ここまで読んでくださりありがとうございました。

この本に載っているドラマチックな本能を全て紹介したいぐらい良い本でした。

まさに、この時代に必要な一冊と言えるでしょう。

陰謀論を信じ込んでしまう人、ネガティブに物事を考えてしまう人、根拠のない恐怖に怯えてしまう人におすすめです。

【著作権者(著者、訳者、出版社)の方へ】

当記事では、本が好きという方に対して面白い本を紹介することを目的としています。

書籍上の表現をそのまま使うのではなく、自分の言葉で描き直すように心がけています。

また、本に対してネガティブな印象を与えないことはもちろん、ポジティブな印象を与えられるように記事を執筆しています。

しかし、万が一行き届かない点があり、記事の削除を望む所有者様がいましたら、お手数ですが、

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までご連絡いただけますと幸いです。

何卒よろしくお願いします。

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