はじめに
今日紹介する本は、ダイヤモンド・プリンセス号の件でお馴染みの岩田健太郎さんの著書『新型コロナウイルスの真実』になります。
<著者のプロフィール>
岩田 健太郎(いわた けんたろう)
1971年、島根県生まれ。神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授。神戸大学都市安全研究センター教授。ニューヨークで炭疽菌テロ、北京でSARS流行時、またアフリカではエボラ出血熱の臨床を経験。帰国後は亀田総合病院(千葉県)に勤務。感染症内科部長、同総合診療・感染症科部長を歴任する。著書に『「感染症パニック」を防げ!〜リスク・コミュニケーション入門』『予防接種は「効く」のか?』『1秒もムダに生きない』(以上が光文社新書)、『感染症は実在しない』(集英社インターナショナル)、『「患者様」が医療を壊す』(新潮選書)、『主体性は教えられるか』(筑摩選書)、『インフルエンザ なぜ毎年流行するのか』(KKベストセラーズ)など多数。
以前、峰宗太郎さんの『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』という本を紹介しました。
ワクチンについて勉強したいという方はこちらがお勧めです。
それに対して、今回紹介する岩田先生の本は新型コロナウイルスとその対策について書かれています。
本書は、新型コロナウイルス感染症の対策を知りたいという方にオススメです。
また、この本は感染症について知識が少ない初心者をターゲットに書かれています。
そのため、とてもわかりやすいです。
僕が独断と偏見で、とてもいいなと思った以下のポイントについて紹介していきます。
- 新型コロナウイルスとその対策について
- ダイヤモンド・プリンセス号事件
- 未知の感染症に対する心構え
※本の要約ではなく、僕が吸収したことのアウトプットです。多少内容が異なっている部分や僕の意見が混ざっています。記事の削除を希望される著作権者の方は、お問い合わせフォームよりお知らせください。即刻、削除いたします。
新型コロナウイルスとその対策について
新型コロナウイルスについては、先ほど紹介した『新型コロナとワクチン』という本の内容と共通していたので、割愛させていただきます。
個人ができる対策も共通していました。
大事なことは以下の3つです。
- 3密回避
- マスク、手洗い、うがい
- 睡眠と栄養
とても簡単なことですが、対策としてはこれに尽きるのです。
また、PCR検査についても峰先生と岩田先生は考え方が似ていました。
どちらも「必要なところに集中的に行え」という主張です。
ウイルスの基礎から学ぶことができ、とてもわかりやすい内容でした。
ダイヤモンド・プリンセス号事件
岩田健太郎先生というとダイヤモンド・プリンセス号の出来事を思い出す方も多いでしょう。
なぜなら、岩田先生はダイヤモンド・プリンセス号に乗り込み、船内の状況を動画にとり、YouTubeに投稿して話題をよんだからです。
その動画は現在、岩田先生が目的を達成したことや動画が政治的な道具にされる懸念から削除されています。
著者である岩田先生は、世界から注目されているにもかかわらず、情報があまり外に出てこないクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号の状況を心配していました。
そのため、岩田先生はSNSなどで「自分の力が必要であれば、中に入りたい」ということを訴え続けていたのです。
その結果、ついにクルーズ船の中に入ることができました。
感染症学会としては中に入ることができなかったので、DMATという災害派遣医療チームの一員として中に入ったのです。
船内に入り、DMATの人から「君は感染症の専門家なのだから、感染症対策をしてくれ」と言われ、感染症対策に取り組んでいました。
しかし、残念ながらすぐに船内から追い出されてしまうのです。
そして、追い出された後に船内の状況を動画にして投稿し、話題を呼びました。
著者が船内の状況を踏まえて考えたことは主に2つあります。
- ヒトではなくコトを見る
- ゾーニング問題
ヒトではななくコトを見る
この考え方は、以前紹介した『ファクトフルネス』という本にも出てきました。
著者が船内に入って感じたことの一つに、専門家が数合わせで入っているとうことがあります。
クルーズ船の中に、DMATやFETP、DPATや国際医療福祉大学の専門家の方達が入っていました。
しかし、これらの方達は感染症対策の専門家ではありません。
DMAT: 災害派遣医療チーム
FETP: 現状把握のプロ、解析チーム
DPAT: 災害派遣精神医療チーム
国際医療福祉大学の専門家の方たちも入れ替わりたち替わりで入っていましたが、指揮系統がはっきりしていませんでした。
この騒動は、誰がいけないという問題ではありません。
犯人探しをしても意味がないのです。
クルーズ船の中での感染症対策がうまくいっていなかったのは、感染症対策のプロが入っていなかったからです。
素人が素人であるのは当たり前です。
問題なのは、プロが対処できる仕組みができていなかったことです。
つまり、ヒトではなく、コトを改善しなければならなかったのです。
ゾーニング問題
感染症対策をする上で大切な考え方として、今ある資源を最大限有効活用するというものがあります。
著者が船内に入ると、背広を着た人と、防護服を着た人が同じ空間にいたそうです。
これでは、どこが安全な場所でどこが危険な場所かがわかりません。
案の定、政府関係者や官僚の方達で感染者が出てしまいました。
必要ではない犠牲です。
また、DPATの方達の中からも感染者が出てしまいました。
精神医療であれば、オンラインでもできます。
無理に防護服を着る必要がなかったのです。
「不必要なものをやめる」という考え方を著者は「引き算の発想」とよんでいます。
この考え方が大事なのです。
未知の感染症に対する心構え
最後に、著者が考える未知の感染症に対する心構えを紹介します。
- 安心を求めない
- 本当の勇気とは
- 間違いをしない人なんていない
- 考え続けることが大事
安心を求めない
まず、前提として「安心」と「安全」は意味が違います。
「安全」は危険なものを取り除くことによってよってつくることが出来ます。
しかし、「安心」とは気持ちの問題です。
「安心」を求め、「安全」を求めることを怠れば、危険なことに気がつくことができず最悪な状況になってしまう可能性があります。
「安全」を求めることが重要なのです。
本当の勇気とは
本当の勇気とは、目をつぶって走ることではありません。
「怖い」コトを自覚することが勇気なのです。
間違いをしない人なんていない
世の中に、間違いをしない人なんていません。
間違いに気づいた時に、撤回・修正すれば良いのです。
情報を常にアップデートし続け、レベルアップしていきましょう。
考え続けることが大事
学ぶスピードは人それぞれです。
学校のように短い時間で答えを出す必要はありません。
自分のペースで、考え続け、納得するまで思考することが重要です。
おわりに
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
本書を読むことで、感染症へのパニックに陥ることなく、冷静に行動をすることができるようになると思います。
世界は、新型コロナウイルス感染症が流行するという長いトンネルの中にいます。
ワクチンや特効薬の開発が進んできていますが、これさえあればだ丈夫というものはまだありません。
メディアの情報や噂、デマに惑わされることのないよう、考え続けていきましょう!
ありがとうございました。
【著作権者(著者、訳者、出版社)の方へ】
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