【書評:64冊目】日本企業の勝算(デービッド・アトキンソン)

目次

はじめに

今回は、『新・生産性立国論』でおなじみデービッド・アトキンソンさんの著書『日本企業の勝算』を紹介します。

<著者のプロフィール>

デービッド・アトキンソン(David Atkinson)

小西美術工藝社社長
1965年イギリス生まれ。日本在住31年(2020年現在)。オックスフォード大学「日本学」専攻。裏千家茶名「宗真」拝受。
1992年ゴールドマン・サックス入社。金融調査室室長として日本の不良債権の実態を暴くレポートを発表し、注目を集める。2006年に共同出資者となるが、マネーゲームを達観するに至り2007年に退社。2009年創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社に入社、2011年同社会長兼社長に就任。2017年から日本政府観光局特別顧問を務める。
『日本人の勝算』『デービッド・アトキンソ 新・観光立国論』(山本七平賞、不動産協会賞受賞)『新・生産性立国論』(いずれも東洋経済新報社)など著書多数。2016年に『財界』「経営者賞」、2017年に「日英協会賞」受賞。

この本は僕にとって少し難しい内容であり、読み込むのに時間がかかりました。

ですが、日本が抱える様々な問題を考えるにあたり必須の一冊と言えます。

国の問題点や政策のあり方などを俯瞰して考えたい方におすすめの本です。

また、キッシーをはじめ政治家の方々には是非とも書籍代で買って欲しいと思います。

それでは、以下の内容に分けて本の内容をまとめ、最後に感想を述べたいと思います。

  • 日本の現状と課題
  • 結論:日本企業の生産性が低いのは規模が小さいから
  • 産業構造を歪めてしまった4つの要因
  • じゃあどうする?
  • 感想

※本の要約ではなく、僕が吸収したことのアウトプットです。多少内容が異なっている部分や僕の意見が混ざっています。記事の削除を希望される著作権者の方は、お問い合わせフォームよりお知らせください。即刻、削除いたします。

日本の現状と課題

社会保障費の増大

皆さん知っての通り、日本は少子高齢化社会がますます深刻になっています。

年金は、自分自身で積み立てを行なっていく積立方式ではなく、現役世代が払う保険料を年金受け取り世代に流す賦課方式で運用されています。

(※世界的に見ても賦課方式は当たり前だそう)

そのため、今後現役世代の負担が大きくなることは明らかです。

1950年には12.1人の生産年齢人口で1人の高齢者を支えていました。

しかし、人口予測でいくと2050年には1.3人で1人の高齢者を支えなければなりません。

ただでさえ30年間給料が上がってこなかったのに、負担が増える(=手取り収入が減る)のはかなりきついです。

では、どうすれば良いでしょうか。

それは、企業が強くなり生産性を高くして、労働者に支払う賃金をあげるしかありません。

生産性について

ここでは、様々な用語を整理します。

経済の規模を表すGDP

GDP(付加価値総額) = 生産性(一人あたりのGDP) × 人口 ……①

式変形すると以下のようになります。

生産性(一人あたりのGDP) = GDP(付加価値総額) ÷ 人口

労働生産性

労働生産性 = GDP(付加価値総額) ÷ 労働者の数 ……②

このの式にの式を代入すると以下のようになります。

労働生産性 = 生産性(一人あたりのGDP) × 人口 ÷ 労働者の数

さらに式変形すると

労働生産性 × 労働者の数 ÷ 人口 = 生産性(一人あたりのGDP)

となります。

赤線部分は、労働参加率と言い換えることができます。

労働生産性 × 労働参加率 = 生産性(一人あたりのGDP)

この式が今回のポイントです。

2020年の日本の生産性は世界第28位です。

とても高いとは言えません。

アベノミクスでは、主に女性の労働参加率を高めることで、生産性を維持してきました。

2011年から2018年にかけて生産年齢人口が減っているのに労働者が増えているのは、これが理由です。

ですが、この労働参加率を高める方法も限界にきています。

人口には限りがあるからです。

よって、労働生産性を高めなければなりません。

産業構造に問題がある

労働生産性は主に3つの要素に分けられます。

  1. 人的資本の生産性 (人数や時間で測れるもの)
  2. 物的資本の生産性 (資本金や設備費など)
  3. 全要素生産性   (上2つに含まれない全ての要素)

また、『Why Do Some Countries Produce So Much More Output per Worker than Others?』という論文に面白い結果があったそうです。

この論文によると、日本とアメリカを比較した結果、日本の生産性はアメリカの0.59倍だったそうです。

面白いのは、人的資本の生産性と物的資本の生産性にほとんど違いが見られなかった中、全要素生産性に大きな違いがあったということです。

よって、この論文では「国全体の生産性を決定するのは資本や人材ではなく、こう言った資源をいかに有効に活用するか、有効に配分するか」だと結露づけています。

本書によく出てくる例えを紹介します。

労働者の分配方法

Ⅰパターン: 3000人 → A社に1000人、B社に1000人、C社に1000人
Ⅱパターン: 3000人 → A社に1000人、B社に2人、C社に2人……N社に2人

間違いなく、Ⅰパターンの方が効率の良い資源配分だと言えます。

日本とアメリカを比べた際に、全要素生産性が大きく違うのはこのように資源をうまく配分できていないからなのでしょう。

もっとわかりやすく言えば、小さい企業が多すぎる産業構造に問題があるということです。

結論:日本企業の生産性が低いのは規模が小さいから

国際比較でわかる大企業に勤める人の少なさ

日本の生産性は2020年の時点で世界第28位ですが、なぜ国によって生産性が異なるのでしょうか。

この本では、様々な研究事例が紹介されています。

その中でスペインに関する研究で面白いものが紹介されていました。

『Differences in Total Factor Productivity Across Firm Size: A Distributional Analysis』という論文です。

この論文には、1998年時点で大企業と小さい企業の生産性の違いは80%を企業の規模で説明できたとあります。

つまり、企業の規模が大きければ大きいほど生産性が高いのです。

これは、経済学の原則「規模の経済」から考えても納得ができることです。

しかし、これだけでは、国によって生産性が異なる理由にはなりません。

そこで著者は、各国の生産性に違いが生じる原因を2つの方法で探っていました。

1つ目は、企業の規模別に生産性が異なるかどうかです。

大企業同士の生産性を比べたり、中小企業同士の生産性を比べたりするのです。

2つ目は、各規模の企業で働く労働人口の構成比の違いによって生産性が異なるかどうかです。

先ほどの「規模の経済」から考えると、大企業の生産性が中小企業に比べて高いため、大企業で働く労働人口が増えれば増えるほど、その国の生産性は高くなるはずです。

これら2つの方法で各国の生産性の違いを比較した結果、先進国では2つ目の違いおおむね生産性の違いを説明できたそうです。

実際、日本を見てみると、他の先進国に比べて大企業で働く人の割合が低いことがわかります。

中小企業で働く人が圧倒的に多いのです。

まとめると、規模の小さい企業は生産性が低く、その規模の小さい企業で働いている人が多いことが問題となります。

業種別に違うの?

次に、業種別に生産性を比較します。

すると、日本においては製造業がサービス業より生産性が高くなっていました。

この結果から、日本はサービスが苦手でものづくりが得意なのだと解釈する人がいますが、それは違います。

単純に、製造業においては規模の大きい企業が多いだけです。

これは、業種別に企業の生産性と平均社員数の相関係数を求めればわかりす。

相関係数が高く、相関度合いが高ければ企業の規模によって生産性が変わるということになります。

相関係数が低ければ、生産性と平均社員数は関係は薄く、業種によって生産性が異なるということになります。

2019年の『中小企業白書』のデータを用いて行った分析の結果、相関係数は0.84と高くなっていたそうです。

つまり、サービス業は日本人にとって不得意だから生産性が低く、製造業は日本人にとって得意だから生産性が高いわけではなかったのです。

製造業は規模の大きい企業が多く、サービス業は規模の小さい企業が多いだけなのです。

ここで大事なことは、世界的に見て国の経済が発展すると、需要はサービス業に移っていくということです。

そのため、日本のサービス業の生産性が低い(=企業の規模が全体的に小さい)ということは、日本全体の生産性を大きく引き下げる要因の一つなのです。

結論に対する様々な批判

この「日本企業の生産性が低いのは規模が小さいから」という結論に対しては、以下のような批判が出るそうです。

  • 国民性原因説
  • 大企業搾取説
  • ゾンビ企業犯人説

国民性原因説

これは、「日本人は製造業が得意で、サービス業が苦手だから生産性に違いがある」というものです。

また、「日本にはおもてなし文化があり、サービス業においては価格に反映されない部分が大きい」という主張もあります。

しかし、これらは先ほど紹介したように企業規模の違いで説明できます。

大企業搾取説

「規模の大きい企業ほど生産性が高い」という事実に対して「大きい企業が小さい企業から搾取しているからだ」という批判があるそうです。

しかし、この説を証明するにはさらに議論が必要です。

なぜなら、搾取が厳しいと言われる建設業界でも、中小企業の生産性の低さは従業員数に比例している傾向があるからです。

つまり、生産性が低いのは規模が小さいからであり、搾取されているからとは言えません。

搾取されることによって、企業の規模が小さくなるのであれば、この批判も成り立ちます。

しかし、搾取の少ない宿泊・飲食業においても生産性が低い事実を踏まえると、搾取が主な要因とははっきり言えません。

よって、大企業による搾取はあっても「結果論」に過ぎないと著者は言います。

規模が小さいから生産性が低く、搾取されやすいのです。

日本政府は、企業の搾取を禁止することに注力するのではなく、搾取されないために小さい企業の合併・統合を促し企業の規模を大きくすることに注力するべきです。

そうすることが、この「搾取問題」の抜本的解決につながります。

ゾンビ企業犯人説

日本企業の生産性が低い理由に「ゾンビ企業の存在」を出す人がいるそうです。

ゾンビ企業

経営が破綻していて本来潰れるべき企業だが、政府や政策によって延命できている企業

しかし、ゾンビ起業の割合は1割程度と極めて低くなっています。

よって、このゾンビ企業が経済全体に与える影響は大きいとはいえず、日本企業の生産性が低い理由を説明することはできません。

多少影響はあっても、主要因ではないのです。

よって、「日本企業の生産性が低いのは規模が小さいから」という結論になります。


以上、3つの主な批判に対して、その批判が成り立たない理由を説明してきました。

現在、日本では人口減少もあり小規模事業者の数が減少しています。

一般的には企業の数が減るとGDPに悪影響ができると考えられていました。

しかし、実際はGDPが増加傾向にあります。

これも、小規模事業者が減って「規模の経済」が働いた結果でしょう。

人口が増えていた時代は、中小企業は多くの人に雇用の場を提供していました。

そうすることで、失業率を低く抑え込むことができました。

ですが、人口が減少する時代に、中小企業をたくさん生み出す政策は相性が合いません。

時代にあった政策を行なっていくべきでしょう。

産業構造を歪めてしまった4つの要因

規模の小さい企業が多いことを紹介した後は、なぜそのような社会になってしまったのかを説明します。

bunching

1つ目は、「bunching」の存在です。

bunching

規制によってある特定の規模の手前で企業の数が極端に多くなる現象

このbunchingの存在はさまざまな国で確認されています。

フランスでは、従業員が50人以上になると労働規制の対象にあるそうですが、しっかりと50人未満の従業員を抱える企業の数が明らかに多くなっています。

後ほど紹介しますが、フランスの場合は「最低賃金」を高く設定することで、小規模事業者がいたずらに多くなることを防いでいます。

スペインも営業収益が600万ユーロ以上の企業に対して、税法の遵守を確認する法律が制定されたそうです。

それによって600万ユーロ未満の企業は法人税率を3割ほど低く済ませることができるようになったと言います。

実際、営業収益を600万ユーロ未満に抑える企業が極端に多くなっています。

これらがbunchingです。

ある研究によると、規模による規制は規制のない国と比べて、

ある研究によると、規模による規制は規制のない国と比べて、国全体の生産性を30%〜50%低下させているそうです。

これも、アメリカの生産性が高い理由の一つなのでしょう。

日本においてもさまざまな規制や優遇策があり、bunchingの存在を確認できます。


少し内容が異なりますが、僕自身税制度にも問題があると思います。

大学生はよく知っていると思いますが、アルバイト収入を103万円以内に抑えないと親の所得控除がなくなり、税金を多く払わなくてはいけなくなってしまいます。

よって、年間の収入を103万円以内に抑える人が大半です。

これもbunchingと言えるのではないでしょうか。

僕は、バカすぎて103万円を超えてしまいました。

よって、税金を多く払わないといけません。

キックバックや報告書のみ記載を行なっている政治家の皆さん、どうか僕を許してください。

税金のために働いているようで馬鹿馬鹿しいです。

税制度については、今僕も勉強中ですが、以下の書籍が参考になります。

定義の小ささ

規制や優遇策がbunchingを引き起こしますが、もう一つ大きな問題があります。

それは、中小企業の定義の狭さです。

日本が定める中小企業の範囲とEUが定義する中小企業の範囲を比較してみましょう。

以下に、小企業と零細企業の欄を削除した日本とEUにおける中小企業の定義の違いを表にまとめました。

項目日本EU
定義基準業種ごとに資本金と従業員数で定義業種を問わず、従業員数と年間売上高、または総資産額で定義
中小企業 (SMEs)製造業・建設業・運輸業: 資本金3億円以下、または従業員300人以下従業員数:250人以下
年間売上高:5,000万ユーロ以下
総資産額:4,300万ユーロ以下
卸売業: 資本金1億円以下、または従業員100人以下
サービス業: 資本金5,000万円以下、または従業員100人以下
小売業: 資本金5,000万円以下、または従業員50人以下
日本とEUにおける中小企業の定義比較表

見ての通り、日本は製造業を除き、従業員の数が低く設定されています。

この影響は大きいそうです。

なぜなら、日本は1964年の平均従業員数が24人とピークを打った後、徐々に減ってきているからです。

1964年に何があったのかといえば、OECDへの加盟です。

その準備として、1963 年に現在の中小企業基本法が制定されました。

この中小企業と定める範囲の狭い法律が制定されて以降、一企業あたりの平均従業員数は減っています。

また、規制や優遇を受けるための規模の範囲が変更されると、企業はギリギリまで規模を変える傾向があることもある研究結果でわかっています。

よって、この定義が定める中小企業の範囲が狭いことも、小さい企業が多くなってしまっている原因の一つといえます。

実際、中小企業の定める範囲が大きいアメリカとドイツは企業の平均規模が大きく生産性も高い傾向にあります。

さらに、日本においても製造業の規模が大きく生産性が高いということも、中小企業の指す定義が製造業だけ大きいからだと説明することも納得がいきます。

中小企業を支援する優遇策

中小企業を支援するさまざまな優遇策も、小さな企業を増やしてしまった大きな要因です。

日本にはざっと以下のような優遇策があります。

  • 法人税率の軽減
  • 欠損金の繰越控除
  • 欠損金の繰戻還付
  • 交際費課税の特例
  • 投資促進税制
  • 少額減価償却資産の特例
  • 固定資産税の特例措置
  • 研究開発費税制
  • 消費税の特例

最近、インボイス制度が話題となっていましたが、僕の理解では「消費税の特例」を見直すものだと理解しています。

このように、たくさんの優遇策が中小企業であることを条件に無期限に行われていることが現状です。

本来、このような優遇措置は、企業の規模ではなく企業の投資行動によって行われるべきです。

また、無期限ではなく、期限を決めて行うべきでしょう。

そうすると「大企業が恩恵を受けれて有利じゃないか」という批判が出ますが、支援策に上限を設ければ小さい企業が受けれる恩恵の割合が相対的に高くなるので大丈夫です。

最低賃金と「monopsony」

数ある中小企業優遇策の中でも、とりわけ大きな役割を果たしているのが「最低賃金」です。

日本は、世界各国に比べて比較的低い最低賃金が設定されています。

そのことによって、生産性の向上に悪影響が出ています。

生産性の低迷を招くメカニズムは以下の通りです。

生産性の低迷を招くメカニズム

人を安く雇えるため、生産性を上げるためのIT機器を導入するインセンティブが沸かない

生産性が上がらないので、起業規模を大きくすることができない

小さい企業は研修を十分に行えないため、社員のスキルアップができない

スキルのない社員が多くなり、付加価値を高められず生産性も上がらない

よって、最低賃金を高く設定することで以下の利点が生まれるのです。

  1. 生産性の低い企業が企業しづらくなる
  2. 既存企業への刺激になる、付加価値を高めるインセンティブが働く
  3. 生産性の低い企業から労働者が離れる

最低賃金を引き上げると言うと、「企業の倒産が増え、失業率が上がる」という批判が聞こえてきそうです。

しかし、ドイツの事例をみればそうならないことがわかります。

ドイツは2015年に賃金の中央値に対して高い最低賃金を設定しました。

設定される前は、「企業の倒産が増え、失業率が上がる」と言う批判が巻き起こりましたが、結果は以下の通りです。

  • 企業の平均規模12%拡大
  • 全体の雇用は1.07%増加
  • 個人消費も0.37%増加

たしかに、労働市場が完全競争の状態にあれば、このような批判も理解できます。

しかし、実際は「monopsony」の力を考慮する必要があります。

「monopsony」

雇用側が労働者に対して、相対的に強い交渉力を行使し、割安で労働力を調達することができること

monopsonyの力が強く働いている国であれば、最低賃金を高く設定することで力を弱めることができます。

monopsonyの力が強いというのは、本来支払うべき賃金に対する割引率が大きいということです。

よって、最低賃金を引き上げても労働者の限界価値を超えない限り、雇用は減らないのです。

じゃあどうする?

質の低い経営者が量産された

以上、主な4つの要因によって、日本には小さい規模の企業が大量生産されました。

小さい企業が増えた弊害はもう一つあります。

それは、「質の悪い経営者が増えたこと」です。

普通に考えると、経営センスのある人材にも限りがあるはずです。

そのような経営センスのある人材のもとに多数の労働者を集約させる方が、社会全体として効率的です。

よって、産業構造を歪めてしまった4つの要因を取り除く必要があります。

中小企業の規模を大きくするため支援

先ほど、「中小企業を支援する優遇策」でも述べたとおり、日本に必要なのは、小さい企業を支える政策ではなく、小さい企業を最適規模まで拡大することを後押しする政策です。

老子の格言で、『授人以魚 不如授人以漁』という言葉があります。

飢えている人に魚を与えるのではなく、魚の取り方を教える方が良いという意味です。

つまり、政府は生産性の低い企業に大企業と戦うための補助をするのではなく、大企業と戦えるまで強くなる方法を教えるべきです。

エピソードベースではなくエビデンスベース

何かを変えようと思うと、「倒産が増える」や「失業率が高まる」など感情的な批判がたくさん出てきます。

そう言った感情論に流されず、エビデンスをベースに議論することが大切になるでしょう。

感想

対症療法ではなく、原因を突き止め解消するべき

僕はこの考え方が印象的でした。

日本にはさまざまな社会問題が存在します。

  • 少子化問題
  • 財政の問題
  • 輸出が少ない問題
  • 年金の問題
  • 女性活躍の問題
  • 賃金が低い問題
  • 残業が多い問題
  • 有給休暇の取得率が低い問題

ですが、これらの問題も根本を辿れば、企業の規模が小さく生産性が低いことに行き着きます。

企業の規模が小さく、ぎりぎりの人数で業務を回しているからこそ休みが取れないのです。

女性が妊娠をきっかけに仕事を休み、復帰が難しい問題もそうです。

よって、小手先で問題を解決するのではなく、原因を解決する。

この姿勢が大切なのだと学びました。

この考え方は、以前紹介した『新型コロナウイルスの真実』にもありました。

僕もある問題に直面した時、その根本原因を考えるようにします。

政治家の皆さんには、是非とも覚悟を持って業務に取り組んでいただきたいです。

日本維新の会、国民民主党の方々には強く期待します。

「成長産業を政府が見分けることはできない」とひろゆきさんも言っていた

「成長産業を見極め、そこに投資することでイノベーションを促進する」

聞こえはいいですが、そんなことは不可能です。

なんかの動画で、ひろゆきさんも言っていましたが、成長産業を政府が見分けることなど不可能です。

これまでもたくさん失敗してきました。

そうやって企業規模や業種を限定するのではなく、投資行動を基準に支援を行い、企業が大きな規模へと成長する後押しをすることが大切です。

アトキンソンさんはデータを元に主張されていたため、説得力がすごくすっかり洗脳された気分です。

よくいえば、とても頭が良くなったように思います。

おわりに

長い記事を読んでくださり、ありがとうございます。

ネット記事やSNSでインフルエンサーが発信している内容が頭の中で綺麗に整理される教科書的な本でした。

前回紹介した『新・生産性立国論』に続きおすすめの一冊です。

【著作権者(著者、訳者、出版社)の方へ】

当記事では、本が好きという方に対して面白い本を紹介することを目的としています。

書籍上の表現をそのまま使うのではなく、自分の言葉で描き直すように心がけています。

また、本に対してネガティブな印象を与えないことはもちろん、ポジティブな印象を与えられるように記事を執筆しています。

しかし、万が一行き届かない点があり、記事の削除を望む所有者様がいましたら、お手数ですが、

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