はじめに
今回紹介するのは、箕輪厚介さんの著書『怪獣人間の手懐け方』です。
<著者のプロフィール>
箕輪 厚介(みのわ こうすけ)
幻冬舎 編集者。
大学卒業後、双葉社に入社。「ネオヒルズ・ジャパン」を創刊し完売。『たった一人の熱狂』見城徹、『逆転の仕事論』堀江貴文などの編集を手がける。
幻冬舎に入社後は、新たな書籍レーベル「NewsPicks Book」を立ち上げ、編集長に就任。『多動力』堀江貴文、『日本再興戦略』落合陽一、2019年一番売れてるビジネス書、『メモの魔力』前田裕二など次々とベストセラーに。
自著『死ぬこと以外かすり傷』は14万部を突破。雑誌「サウナランド」は2021年のSaunner of the Yearを受賞。
2022年『死なばもろとも』ガーシーを出版。
この本の発売から書評まで時間が空いてしまいました。
はじめに言い訳をすると、じっくり読んでいたため書評が遅れました。
何回も繰り返し読んでいたのです。
そんで、僕はこの本を買うかずっと迷っていました。
なぜなら、毎日箕輪さんのYouTubeを見ていたし、過去の動画や投稿を隈なく見ていたため、ある程度言いたいことがわかっていたからです。
しかし、「この本と『かすり傷も痛かった』という本の2さつ購入すると、箕輪さんのいるLINEグループに入れる」と聞き、買っちゃいました。
みんさんもぜひ購入してみてください。
この本は、好きな人がいるけどなかなか声をかけられないで立ち止まっている方やバイト先にうざいおばさんがいる方、新人書籍編集者に特にお勧めです。
怪獣人間という時代を動かす人との出会いに関する本なのですが、そのまんま恋愛に応用することができます。
それでは、以下の内容に絞って紹介していきます。
- 怪獣人間の定義と出会うメリット
- 怪獣人間の生息地
- 接触する際の注意事項
- 捕獲する際の注意事項
- 人間関係における重要事項
- バイト先にいるうざいババアの対処法
- 感想
※本の要約ではなく、僕が吸収したことのアウトプットです。多少内容が異なっている部分や僕の意見が混ざっています。記事の削除を希望される著作権者の方は、お問い合わせフォームよりお知らせください。即刻、削除いたします。
怪獣人間の定義と出会うメリット
怪獣人間とは
怪獣人間とは、時代を動かすような人であり、川の源流に住んでいる人間です。
まるで太陽の存在と言えるでしょう。
遠くにいるとあたたか存在ですが、近づきすぎると焼き殺されます。
例を挙げるなら、ホリエモンさん、見城徹さん、井川意高さん、サイバーエージェントの藤田晋さん、ガーシーさん、秋元康さん、西野亮廣さん、ひろゆきさん、成田悠輔さん、ダルビッシュ有さんなどです。
怪獣人間に出会うメリット
怪獣人間に出会うメリットは2つあります。
- 時代の節目に立ち会うことができ、「イイ案件にイチ早く出会える」。
- 自分の限界値(基準)を引き上げてくれる
箕輪さん自身は怪獣人間ではありませんが、怪獣人間に出会うことで人生が大きく変わったと言います。
以前は小手指駅から2時間かけて会社に通勤するサラリーマンでしたが、今ではたくさんのお金を稼ぐ編集者です。
というのも、怪獣人間のそばにいると、「次にこれくるな」というのがわかるそうです。
また、怪獣人間には世の中の常識というものがありません。
いい意味で、自分の思い込みを打ち破ってくれます。
圧倒的な仕事スピードや決断スピードを持っていて、会う人の多さも尋常じゃないのです。
自分の当たり前をかえてくれるからこそ、自分の仕事もうまくいくようになるのです。
とても印象的だったので、本書にあった見城さんの名言を載せておきます。
箕輪、よく聞け。無理はな、通すためにあるんだよ!
見城徹
怪獣人間の生息地
この本にはカメラマン篠山紀信さんの名言が掲載されていました。
イイカメラマンとは、写真が上手い人ではない。撮るべき人の前でシャッターを押せる人である。
篠山紀信
おそらく、箕輪さんのことを「有名人の本を作って売れているだけじゃん」「なにがすごいの?」と思っている方もいるでしょう。
ですが、何がすごいのかといえば「有名人の本を作れる立場にいる」ことがすごいのです。
「本を書いてください」と言える場所にいるのが最大の強みなのでしょう。
では、そんな箕輪さんはどうやって怪獣人間を発見しているのでしょうか。
1日10時間スマホをさわれ
SNSで怪獣人間を探すのが最も効率良い方法です。
箕輪さんの頭の中には、常に30人ぐらいの怪獣人間がいるそうです。
そして、時代の波を待っている。
時代の波と交錯した瞬間に生簀(いけす)の中から引き上げるイメージだと言います。
つまり、著者を調べて企画書を書き、アポを取るという順番ではないのです。
世界最速を目指せ
常にSNSを見ているため、箕輪さんの反応速度は異次元です。
サイバーエージェントの藤田さんが、ネットメディアのインタビューで「社長の引き継ぎ書をつくっているので、まとまったら本にしてもいいかもしれない」と語っていたそうです。
その際、インタビューが上がった瞬間に読み、1分後にはTwitterのリプで「本をやらせてください」と連絡しそうです。
藤田さんからは「さすがですね。最速です」と返信が来たと言います。
まさにこの速さが大切なのです。
また、ヤフー(現Zホールディングス)会長の川邊健太郎さんが、起業した際の話をSNSにあげていたのを、勝手にワードにまとめ「本にしませんか」とリプを飛ばしたこともあるそうです。
偶然会ったときに「もう本を出せる準備が終わってますよ」と言ったら笑っていたと言います。
このエピソードを聞いて、僕もスピードをあげないとなと思いました。
断られてからが交渉スタート
これは、僕の最近の座右の銘となっています。
以前紹介した榊原さんの本にもありました。
箕輪さん自身、断られ中の案件は30以上あるそうです。
しかし、断られたというのは、単なる途中経過に過ぎません。
ジャッジは死ぬまで決まらないのです。
その人との最初の接点であり、長い物語の始まりと捉えるようにしましょう。
たまたまタイミングが悪かったのです。
断られた理由を考え、次の戦略にいかす、これにつきます。
接触する際の注意事項
間に誰も挟まない
大事なことは、第三者を挟まないことだそうです。
秘書経由で口説くのではなく、自分で直接口説く。
なぜかといえば、こちらの気持ちが届かないし、温度感が伝わらないからです。
また、怪獣人間の近い距離にいなければ面白い話はやってきません。
怪獣人間が困ったときに、一番最初に相談されるような間柄にならなければならないのです。
もちろん、火傷はするしトラブルが起きたりする。
しかし、怪獣人間が真っ先に自分のことを思い出してくれるようになることが大切なのです。
相手に対して想像力を最大限駆使する
接触の仕方はとても悩むものです。
手紙がいいのかLINEがいいのか。
大事なことは相手に合わせることです。
箕輪さんは手紙に見城さんに共感した部分やすごいと思ったことなどをたくさん書いて送ったそうです。
また、見城さんに接触する際、世の中に出ている発信を見て、どんな話題が来ても返せるようにしたそうです。
本を作らせて欲しいとお願いしたときには、いかに相手にメリットがあるかを説明したと言います。
しかし、ホリエモンに接触するときに同じようにしてはうざがられます。
怪獣人間に接触するための正しい方法や教科書は存在しないのです。
つまり、相手がどういうコミュニケーションを求めているのか、どいう人間なのかを探ることが大切なのです。
捕獲する際の注意事項
信用泥棒になってはいけない
怪獣人間に接触する共通解は存在しませんが、共通して大切なことはあります。
それは、仁義を通すことです。
信用泥棒になってはいけません。
例えば、自分が箕輪さんの知り合いということで仕事を受けた場合、箕輪さんの信用を借りたことになります。
その際は、箕輪さんに一言伝えた方がいいでしょう。
勝手に人の信用を借りさせてもらっているという認識は忘れずにいましょう。
怪獣人間に「あいつは恩を仇で返すやつだ」と認識されてしまうと、取り返しが付かなくなってしまいます。
結果に焦らない
実際に合わせていただくときに、こちらの願いを真っ先に伝えたくなるものです。
編集者であれば「本を書いてください。お願いします」と言いたくなります。
しかし、これは危険です。
相手の機嫌が悪かったり、仕事の話をしたくない場合、このような話は控えたほうが良いでしょう。
その際は、ただ楽しむことに全力を注ぐのです。
そして、「また会いたい」と思わせる。
それが大事なのです。
まさに、狩猟と同じです。
仕留めるのに焦って獲物に気がつかれたら、チャンスはもうきません。
辛抱強くいきましょう。
憑依レベルの分析
相手が自分のことを信頼してくれるのはどいうときでしょうか。
それは、「こいつ自分以上に自分のことをわかっているな」と感じるときです。
その点、編集者は最強なのでしょう。
箕輪さんは、以下のように述べています。
編集者の仕事は、相手が自分でも言語化できていない相手の気持ちを言葉にして、本性を引き出し「それ書きましょうよ」と本にすることだ。
この相手のことを理解するために箕輪さんがやっているのが「憑依レベルの分析」です。
相手がなぜその行動をしたのかなどを、相手の立場に立ったつもりで考える。
どんな欲望や原理で動いているのかを考える。
それが「憑依レベルの分析」です。
この分析を行うためにも日頃から、本や映画を見て、成功者にも犯罪者にもあって、自分自身いろんな人生経験をし、喜び傷ついて、人間に対する理解度を深めることが重要になります。
著者と同じ方向を向く
怪獣人間と仕事をする際、同じ方向を向くことが大切です。
例えば、編集者と著者(怪獣人間)の関係の場合このような場合があります。
著者:いい本にしたい
編集者:締め切りに間に合わせたい
この場合、著者に合わせるなら、会社に締め切りをずらしてもらえるよう交渉しなければなりません。
もし、締め切りを重要視するのであれば、「著者にとって締め切りを守ることがいかに重要なのか」を著者にしっかりと話さなくてはなりません。
人間関係における重要事項
人間関係の究極の三角形
これまでの箕輪さんの経験から、人間関係で重要な3つのことがあるそうです。
A. 興味
B. 目的
C. 自分
まず、人への興味から全てが始まります。
興味があるから頑張れるとも言えます。
しかし、目的がなければただのファンとして終わってしまいます。
あくまで、仕事の関係。
Win-Winの関係がよいそうです。
編集者の場合、怪獣人間を利用して本を作らせてもらっている。
怪獣人間としては、本を出版することはブランディングになるし、広告にもなる。
ただし、結果を出し続けないといけません。
加えて、10%の自分を持つことも大切です。
怪獣人間はエネルギッシュで、簡単に他者を染め上げてしまいます。
怪獣人間と付き合っていくためにも、自分をしっかり持たなければ振り回され心身ともに疲弊してしまいます。
嫌われたら仕方ない
他者に嫌われたい人などいないでしょう。
ましてや怪獣人間のような人には好かれたいものです。
しかし、「嫌われたくない」という気持ちで自分を演じ続けていては、疲弊しますし、人間関係がややこしくなります。
竹中平蔵さんも言っていましたが、「嫌われても構わない」という気持ちを持つこともときには重要です。
全然関係ない話をします。
以前、『日経テレ東大学』というYouTubeチャンネルで竹中平蔵さんとひろゆきさんが対談していた番組を僕は視聴しました。
そのとき、二人とも「嫌われてもいい」という自分を曲げない価値観を持っていたため相性がいいように感じました。
自立とは依存先を増やすこと
「嫌われたら仕方ない」と言っても、自分の居場所がなくなってしまいます。
そこで、箕輪さんがおっしゃているのがこの言葉です。
自立とは依存先を増やすこと
コミュニティをたくさん持っていれば、一つのコミュニティで嫌われても壊滅することはありません。
自分を演じ続けなくても良くなります。
バイト先にいるうざいババアの対処法
社内政治
僕がこの本を読んで最大の学びになった部分はこの「社内政治」に関してです。
箕輪さん曰く、社内政治は仕事の基本。
関係者の利害一致
みんなにゴマをするのではなく、みんなの欲望を一致させること
この本で取り上げられていた話、箕輪さんが光元勇介さんの著書『実験思考 世の中、すべては実験』という本を担当したときの話を紹介します。
この本を作ったときに、「価格自由」に挑戦したそうです。
本を原価で販売。
本を読んだ人が価値を認めてくれたらその分を課金してもらう仕組み
『実験思考 世の中、すべては実験』の場合、電子版を0円、紙版を400円で販売
この「価格自由」は「やりたいです」と言って実現するものではありません。
「無理です」と言われて終わりです。
そんなとき、箕輪さんの最大武器「憑依レベルの分析」を使います。
まず、営業部門の人を分析します。
すると、以下のように各ポジションの立場がわかります。
- 売り上げは未知数
- リスクもある
- 社長は知らない
- 売り上げを上げたい
- 変なリスクは避けたい
- 社長の指示は絶対
- 売り上げが立つこと
- リスクがないこと
- 幻冬舎にとって価値があること
箕輪さんはまず、赤線部分を解決したそうです。
社長に掛け合い、「めっちゃいいアイデアがあるんですけど、営業と相談してやっていいですか」と伝えました。
すると、「いいよ、営業と話してやってくれ」とゴーサインをもらうことができました。
その後、営業部門の人に「社長がやってと言っている案件がありまして」と伝え企画を進めていきます。
次に、青線部分に取り組みます。
今回の企画は原価で売るため、課金してもらえなければ利益が上がりません。
大きなリスクがあるのです。
しかし、箕輪さんは著者と交渉することでこの問題を解決しました。
著者はある程度お金を持っていたので、「3万部が売れた場合の売り上げを前金でもらえないか」と交渉します。
そして、「『価格自由』で入った分は相殺する形で返していく」と伝えます。
そうして、青線部分を解決したのです。
実際、1日で前金を回収できたそうです。
すごすぎます。
そして、これらの話がまとまったら最後にもう一度社長に掛け合います。
これが緑部分です。
「こんな新しいことをやるのは幻冬舎しかない。さすが幻冬舎となるはずです」といかに価値あることかを伝え、この企画が実現しました。
よく、「うちの会社は体質が古くて、新規企画が全然通らない」という声を聞きます。
しかし、箕輪さんに言わせてみれば、「利害一致ができていないだけ」となります。
根回しが大変?岸田首相必見!めっちゃ大事なこと
社内政治に加えて、仕事をする上での悩みの一つが「根回し」です。
ここで著者は以下のように言っています。
根回しは嫉妬を買わないための保険でしかない
箕輪厚介
つまり、重要なことは「やると決めたらやる」ということ。
根回しがうまくいかなくても、自分で決めた道は進まなければなりません。
ここで、生意気なことを承知で大学生の僕から岸田首相に一言。
やりたいことをどんどんやってください。
根回しをしまくって、改革が進まない。
内閣を改造しまくって、仕事が進まない。
そんな余裕は日本にありません。
ときには、菅義偉前総理大臣のように「やりきる力」が大事です。
僕が全然言えた立場ではないのですが、、
うざい上司はとにかく褒める
これYouTubeでも取り上げられていました。
神回です。
うざい人はとにかく褒める。
うざい人を「憑依レベルの分析」すると、自信がなく、承認されたいのだとわかります。
よって、褒めまくれば「こいつ、いいやつだな」と思わせることができます。
それさえ嫌な場合は、喧嘩するか無視をする。
中途半端な距離が一番危険なのです。
なんか、恋愛と同じような気がします。
感想
この本を読んで、様々なことを学びました。
いますぐ動け
直接口説け
断られてからが交渉スタート
相手に対して想像力を最大限発揮しろ
憑依レベルの分析
同じ方向を向け
嫌われたら仕方ない
中途半端な距離が一番危険
これらの格言は、仕事だけにいきるわけではありません。
何よりも「恋愛」にいきると思います。
「中途半端な距離が一番危険」などは特に当てはまる気がします。
返り血を浴びる覚悟を持って気持ちを伝える。
これは僕が特に意識していることです。
よって、この本は恋愛にも活用できます。
この本に別のタイトルを僕がつけるなら『好きな人の手懐け方』でしょう。
おわりに
この本は、数々の怪獣人間と本をつくってきた天才編集者・箕輪厚介さんの編集論が全て詰まっています。
新人編集者のみならず、多くの人に役立つことでしょう。
【著作権者(著者、訳者、出版社)の方へ】
当記事では、本が好きという方に対して面白い本を紹介することを目的としています。
書籍上の表現をそのまま使うのではなく、自分の言葉で描き直すように心がけています。
また、本に対してネガティブな印象を与えないことはもちろん、ポジティブな印象を与えられるように記事を執筆しています。
しかし、万が一行き届かない点があり、記事の削除を望む所有者様がいましたら、お手数ですが、
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