はじめに
今回紹介するのは、渡邉正裕さんの著書『10年後に食える仕事 食えない仕事』です。
<著者のプロフィール>
渡邉 正裕(わたなべ まさひろ)
ニュースサイト『MyNewsJapan』(mynewsjapan.com)のオーナー、編集長、ジャーナリスト。
1972年東京生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、日本経済新聞の記者、日本IBM(旧PwCコンサルティング)のコンサルタントを経て、インターネット新聞社を創業。一貫して「働く日本の生活者」の視点から、雇用・労働問題を取材、分析、提言。著書に『企業ミシュラン』シリーズのほか、『10年後に食える仕事 食えない仕事』『35歳までに読むキャリアの教科書』『若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか』『トヨタの闇』など多数。
Twitter: @masa_mynews
Blog: mynewsjapan.com/blog/masa
連絡先: masa@mynewsjapan.com
今回も職業選びに関する本を紹介します。
『いい会社はどこにある?』でお馴染みの渡邉正裕さんの著書です。
この本も内容がとても充実していて、1500円では安すぎるように感じます。
今就職活動をしている25卒の方だけでなく、現状の仕事に満足してない方、転職を考えている方におすすめです。
人間の強みを理解して職業選びができるようになります。
また、現行の社会制度のどこをどう変えたらペーパーレス化やキャッシュレス化が進むのかを理解することができます。
政策決定の立場にいる方にもぜひ読んでいただきたいです。
この本の最大の特徴は、著者である渡邉さんが地道に取材を繰り返し、その取材をもとに書かれている点です。
よくある学者が頭の中で考えただけのものとは異なります。
それでは、以下の内容に絞って紹介していきます。
- 人間とAI・ロボットのそれぞれの強み
- 職業を5つのエリアに分類
- 10年後を見据えた職業の選び方
- キッシー(岸田総理大臣)が取り組むべきこと
- 補足
※本の要約ではなく、僕が吸収したことのアウトプットです。多少内容が異なっている部分や僕の意見が混ざっています。記事の削除を希望される著作権者の方は、お問い合わせフォームよりお知らせください。即刻、削除いたします。
人間とAI・ロボットのそれぞれの強み
オズボーン論文との比較
この分野で有名な論文がオズボーン論文『雇用の未来』です。
astrohiroさんがnoteでわかりやすく和訳してくださっています。
オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が、カール・ベネディクト・フレイ博士との共著で2013年秋に発表した論文”The Future of Employment”。米国では702の職業のうち47%が、10~20年後には機械にとって代わられるとして話題を呼んだ。
オズボーン論文は、学者の方達が計算を繰り返して予測したものであるのに対して、渡邉さんの予測は緻密な現場取材に基づいたものです。
加えて、アメリカを対象に行ったのがオズボーン論文であるため、その結果を日本に直接当てはめることは難しいでしょう。
しかしながら、仮説においては共通している部分が多いことも事実です。
ここからは、本書の内容である渡邉さんの仮説を紹介します。
人間の強み
人間の強みが発揮される仕事は、以下の5つに分けられるそうです。
- 創造ワーク
- 感情ワーク
- 信用ワーク
- 手先ワーク
- ボディーワーク
<創造ワーク>
小説家、漫画家、作曲家、お笑い芸人、画家、建築家、デザイナー、プロデューサー、基礎研究者、大学教授、政治家など。
これらの仕事に取り組む人は、おそらく少数派でしょう。
アートの才能に加え、ビジネス能力や人間関係力も必要です。
<感情ワーク>
介護福祉士、看護士、保育士、学校教師、高級レストランのウェイター、ホテルスタッフ、鉄道の車掌や駅員、飛行機の接客職全般、小売店販売員など。
これらの仕事に共通しているのは、場の空気を読んで適切に対応する能力が必須である点です。
機械にいくら情報を教え込んでも、人間ほど空気を読むことはできません。
感情とはとても複雑なものなのです。
<信用ワーク>
記者、編集者、人事部員、コンサルタント、弁護士、臨床医師全般など。
こららの仕事は顧客から重要な情報を聞き出す必要があります。
そのためには、信用を得る必要があるのです。
これは機械には難しい話です。
機械に情報を入力すれば、どこから漏洩するかわからないからです。
証券会社や旅行代理店の中で富裕層向け商品を扱う部署もここに含まれます。
<手先ワーク>
コンビニ定員、寿司職人などの料理人、農業の大半など。
Amazon倉庫のピッキング作業やコンビニ定員の仕事は、高度な作業を要求されます。
ロボティクス技術がさらに発展すれば、機械にとって代わられる可能性がありますが、現状ではまずあり得ないでしょう。
まいばすけっとなどのスーパーではレジ打ちがセルフレジに変わるかもしれませんが、コンビニでは揚げ物の準備や発送品の受け取り、タバコの販売など仕事内容が多種多様です。
また、飛行機内の清掃や飲食店のテーブル清掃作業(バッシング作業)も人間が最強です。
僕は、飲食店のバイト先でバッシング作業をよく担当しますが、人の作業スピードとクオリティはすごいなと毎回思います。
<ボディワーク>
警察、消防、救命医、自衛隊、警備員、そして台風や地震後のインフラ復旧にあたる電気・ガス・水道工事の決死隊などです。
これらの現場仕事は、細かい状況判断が求められます。
臨機応変に対応し作業を進めていくことは、機械にとってとても難しいでしょう。
また、犯罪者を機械で特定できたとしても実際に拘束するのは人間です。
よって、これらの仕事は人間に強みがあるのです。
AI・ロボットの強み
では、逆に人間ではなくAI・ロボットに強みがあることはなんでしょうか。
AI・ロボットが活躍するためには、以下の条件が必要になります。
- 業務に必要十分な情報を「デジタル形式」で取得できる
- AIが分析できる範囲内である(指数的爆発を起こさない)
- 物理的に執行環境が整備されている
カメラやセンサーの技術は向上しているため、判定業務などは機械に強みが出てきています。
しかし、人々の感情をデジタル上方に変換するのは困難です。
よって、情報をデジタルに変換できるものでなければならないのです(1)。
また、株価を厳密に予測することも機械にとって困難です。
なぜなら、考慮するべき変数が多すぎるのです(2)。
誰が、トランプ大統領の当選を予測できたでしょうか。
東日本大震災が2011年3月11日に起きると予測できたでしょうか。
考慮するべき変数が多すぎてしまい組合せ爆発を起こしてしまうため、未来予測は困難です。
ただし、天文学的なデータ量ではない場合に限り未来予測はある程度できるようになっています。
Uberなどのライドシェアサービスでは、集められたビックデータから何時のどこどこにどれぐらいの需要があるかなどの情報をAIによって導き出されています。
よって、AIの「推論力」をどうビジネスに生かしていけるかが今後のポイントです。
最後に、物理的な執行環境がなければなりません(3)。
広告表示などはインターネット上で完結するため、機械が得意です。
しかし、警察やコンビニ定員などの身体性が必要な仕事はしばらくの間人間が担当することになるでしょう。
職業を5つのエリアに分類
著者は、先ほど紹介した「人間の強み」と「機械の強み」を整理してこれらを横軸に取り、知識集約的な仕事技能集約的な仕事かどうかを縦軸にとって各職業を以下の5つのグループに分類しています。
(表を引用したいのですが、許可を得ていないため掲載不可)
- ロボティクス失業
- 手先ジョブ
- 職人プレミアム
- AI・ブロックチェーン失業
- デジタル・ケンタウロス
ロボティクス失業
ここには、機械に強みがあり、技能集約的な仕事が分類されます。
現在、人間の身体性を必要としていますが、ロボティクス技術の発展とともに機械に仕事がとって代わられるエリアです。
例えば、乗り物の運転手が当てはまるでしょう。
技術的ハードルが低いところからいくと、電車や新幹線の運転手です。
これらは自動運転の導入によって不要になります。
では、無人で運転されるようになるかといえばそうではないそうです。
僕は、ここが驚きポイントでした。
ポイントは、人間を運ぶのかそれ以外を運ぶのかということです。
鉄道や長距離バスのように人間を運ぶ際には、誰かがトラブル対応をしなければなりません。
振替輸送の際の座席案内もあります。
よって、運転手は減っても車掌は必要になり、無人になることはないでしょう。
また、飛行機においても運転手がいなくなることはないといえます。
なぜなら、空を飛ぶという行為は変数が多すぎて機械で100%安全を確保することが困難だからです。
自動車の自動運転のように、機械化によって安全度合いが上がる場合は導入が進むのですが、安全度が下がる場合は導入が見送られるでしょう。
公道における自動運転については、最近ホットなテーマです。
世界各国では自動運転が普及し始めています。
しかし、日本の都市部は道が複雑に入り組んでいたり、自動車が侵入できない道があったりと自動運転を導入するにはハードルが多すぎます。
よって、場所や運ぶ対象によって自動運転の導入スケジュールは様々でしょう。
加えて、区役所や市役所の手続き業務も自動化されるべきです。
ガスの検診員もそうです。
ガス会社は一応自動化を進めていますが、強いインセンティブはありません。
ガス代は総括原価方式がとられています。
かかった原価 + 適正利益 = 料金
そのため、自動化しないために発生する人的コストは我々利用者が負担しているのです。
役所手続きにおけるスタッフ人件費も税金から支払われています。
自動化を進め、それら人員は他の付加価値を生み出せる仕事へ移動するのが合理的です。
手先ジョブ
このエリアは特殊で利用者としては機械でも人間でもよいが、機械ではうまくできないため人間が担当しているエリアです。
ホテルの清掃スタッフや物流倉庫におけるピッキングスタッフ、コンビニ定員などが挙げられます。
人間は思った以上に器用なのです。
職人プレミアム
こちらは、未来永劫人間に強みがあり、人間が担当するエリアです。
人間が行うからこそ価値が出るところです。
美容師、理容師、接客系、コルセンターのオペレーター、CA、外食店の料理人、自衛隊などの現場仕事が当てはまります。
先ほどした人間の強み「創造ワーク」「感情ワーク」「信用ワーク」「手先ワーク」「ボディワーク」を必要とする部分です。
AI・ブロックチェーン失業
ここのエリアは、機械に強みがあり知識集約的な仕事が分類されます。
仕事は徐々に機械にとって代わられますが、必ずしも失業するわけではありません。
放射線科医のように一次検査を機械でできるようになり、人間は二次検査に専念できるようになるため、仕事量が増える職種もあります。
一方、株のトレーダーなどは機械に変わられるでしょう。
ブロックチェーン技術により「代書業」と言われる仕事も無くなっていくでしょう。
会計周りに関しては、各種データの保存方式などを統一し、必要項目のフォーマット化や外部システムとの接続インターフェイスの統一などを政府が早急に取り掛からなければなりません。
これに関しては、後ほど「キッシーが取り組むべきこと」で紹介します。
ここのエリアの職業は、次に紹介する「デジタル・ケンタウロス」になることで生き残ることができます。
例)
税理士→税務コンサルタント
デジタル・ケンタウロス
ここのエリアは、人間に強みがあり知識集約的な仕事が分類されます。
AIをうまく活用することで飛躍的に活躍することができるエリアです。
例えば、コンサル的な提案を行う営業などが当てはまります。
以前紹介した「キーエンス」という会社はまさにここのエリアの代名詞といえます。
また、日本人に強みがあり海外からの参入が困難な職業も当てはまります。
記者、編集者、人事、労務、臨床医、弁護士、大学教授、システムエンジニア、ファンドマネージャーなどです。
下半身をビックデータで武装し、人間の強みをしっかり生かすことで活躍できるのです。
しかし、下半身をビックデータで武装できない場合は活躍できず、失業していく運命にあるかもしれません。
ある意味格差が開きやすいためリスクがあります。
10年後を見据えた職業の選び方
4つの壁
先ほど、職業を5つの分野に分類しました。
しかし、職業の変化を妨げる様々な要因は考慮しませんでした。
ここからは、以下の4つの問題点を考慮して、どのぐらいのスピード感で職業が変わっていくのかを考えます。
- 技術
- コスト
- 既得権
- リーダーシップ
(※記事を書くのがめんどくさくなったので、既得権以外の3つは省略します。本を買ってください。)
既得権については、2つの事例を紹介します。
まずは、キャッシュレスに関してです。
世界ではキャッシュレスがかなり普及しているのに対して、日本では20%ほどだと言います。
これの要因の一つに既得権があります。
例えば、銀行とクレジット会社のクロスオーナー複合体が挙げられます。
通常、クレジットカードは返済できない人が一定数存在するため、金利が高くなります。
対して、デビットカードは即時銀行口座から引き落としされるため、返済が滞るリスクはありません。
よって、クレジットカードに比べて金利が低くなります。
オランダなどでは、デビットカードが多く普及しているそうです。
デビットカードは、銀行のキャッシュカードに付帯されています。
つまり、銀行とクレジットカード会社がグループ会社である以上、デビットカードの普及を進めることはグループ会社全体として見れば収益を減らすことにつながるのです。
よって、金融機関にはお店側の手数料が少ないデビットカードを普及させるインセンティブがないのです。
2つ目は、医療機関に関してです。
これもれっきとした既得権者です。
著者は本の中で以下のように述べています。
現在、患者の検査データやカルテ情報が病院間で共有されないことにより、日々、莫大な過剰検査と、医療被曝による健康被害が発生し、税金と健康が浪費されている。健康保険財政が悪化する一因がこれだ。
『10年後に食える仕事 食えない仕事』p.226
たしかに、病院に行く度に健康情報を記入したり、検査を繰り返したりすることは無駄といえます。
僕の家の近くにも、大袈裟な検査を進められ、多額の費用を請求してくるクリニックがあります。
健康保険制度によって3割負担であることも考慮すると、病院は税金から多額の恩恵を受けていることになります。
そうであれば、ある程度プライバシーの問題があるにせよ、個人情報を匿名化した上で病院間で共有してもらったほうがいいと思います。
そうすることで、ビックデータ分析することもでき医療の発展につながるからです。
消える仕事(ロボティクス失業エリア)
この本では、主に「待ちの営業をしている販売員」や「事務員」が挙げられていました。
Amazonや楽天などの台頭によって、リアル店舗は減少傾向にあります。
その分、物流倉庫のピッキングスタッフ(手先ジョブ)などは増加します。
顧客は商品が欲しいのであって、接客サービスを求めてリアル店舗に行く機会は多くはないのです。
また、既得権に守られているのが事務員と言えます。
事務員はとても多いです。
なぜなら、役所の手続き業務が自動化されていないのに加えて、中小企業が多いからです。
0.5人分の事務業務しかなかったとしても、会社としては1人の事務員を雇用しなければなりません。
よって、適正数以上の中小企業を存在させることは、労働生産性を低下させているのです。
これは、デービッド・アトキンソンさんも指摘していました。
新しい仕事
消える仕事がある一方で、新しく生まれる仕事もあります。
IT関連の仕事やウェブダイレクト販売員(インフルエンサー)、動画編集者、コールセンタースタッフなどです。
コールセンターは意外でしたが、要は現場に人間を配置するより集約センターに配置する方がコスパが良いのです。
映画に登場するようにホログラムで、接客が行われる未来が訪れるかもしれません。
スポーツにおけるビデオ判定の導入も、審判員の数を増やしたといえます。
また、マネーフォワードのように新しいサービスの開発も行われていくでしょう。
キッシー(岸田総理大臣)が取り組むべきこと
今後の時代の流れ
今後AIやブロックチェーンの発展とともに、多くの仕事が自動化されるでしょう。
少子高齢化が急速に進む日本では、AIやブロックチェーンを雇用を脅かすものではなく、労働力を補うものとして活用されていきます。
その際、日本政府はどんな政策を打てば良いのでしょうか。
昨今、役員報酬や企業の内部保留、株主配当は増加傾向にあります。
にもかかわらず、労働者の給与はここ20年間ほぼ上がっていません。
格差が少しずつ開いていると言えます。
まさに、「失われた20年間」です。
著者はその要因として2つ挙げていました。
- 労組のパラドックスがあるから
- プラットフォーマーの勝者総取り状況が続いているから
労働組合ががんばれば頑張るほど、労働者の給与が上がらなくなるという現象。
昔の労働組合は、雇用の安定を第一に考えていた。そのため、雇用を脅かすAIやブロックチェーンなどの活用には反対をする。よって、労働生産性は向上せず、給与も上がらない。
本来、雇用の安定と賃金の上昇はトレードオフの関係にある。
労組のパラドックスにより、現在は労働組合の組織率はとても少ないそうです。
よって、労組も今や機能していないものとなってしまったのです。
そして、GAFAをはじめとするプラットフォーマーが台頭しています。
そのプラットフォームを利用するものは、プラットフォーマーの言いなりにならなければなりません。
今の時代の「新しい小作人」と言えるかもしれません。
楽天市場であったような一方的な規約変更がいい例でしょう。
YouTuberは、Googleの決めたルールに従って収益を受け取っています。
取り分を突然減らされるリスクもあるのです。
キッシーのやること
偉そうな見出しにしてしまいましたが、著者が考えるやるべき政策は以下の3つだそうです。
■ 新しい労働者や小作人たちが、巨大プラットフォーマーと対等に交渉できるような法整備
UberEatsの配達員のように実際は労働者であるのに個人事業主という立場なため、どうしても労働者の立場は弱くなってしまいます。一方的な規約変更などに対してしっかり交渉できる環境が必要です。
■ 再配分による格差是正
これについては5つのステップを紹介していました。
- 役所の裁量によらない給付つき税額控除(負の所得税)導入による低所得者への自動的な給付補填(所得税を徴収されるのではなく、逆に給付される仕組み)
- いまだに安い最低賃金を英国・フランス・ドイツ・オランダ並みの時給1300円超へ引き上げる
- フルタイム勤務の非正規雇用禁止(フルタイムなのに半年でクビにできるような使い捨て契約社員は制度として認めない)
- 経営サイドの意向による雇用契約解消(リストラ)の際の労働者の権利保証(たとえば年収300万円で3年働いたら総額の2割にあたる180万円を支払う義務が生じる)などの規制強化によって、企業が人間を雇う際のコストを引き上げていく
- マイナンバーによる資産課税(金融資産、不動産)でストックの方への課税を強化し、再配分強化の財源としていく
■ テクノロジーの導入を促す
まずは、規制業種、士業、行政機関の業務を自動化する。
ペーパーレス、キャッシュレスが人材捻出、労働生産性向上、給料アップのセンターピン。
金融機関や病院などにAPI公開を義務付ける。そうすることで、病院間での情報が共有されて、無駄な検査が減り、保険金の無駄遣いが減る。
キャッシュレスを進めるために、手数料の上限を定め、補助金を出す。
緑線の部分は、企業が人を雇うコストを高くするものです。
そうすることで、企業が自動化投資に取り組むインセンティブが働きます。
1番に関しては、竹中平蔵さんがよく言っている気がします。
僕は、これを聞いて、この順番が大切な名だと思いました。
いきなり5番の資産課税の強化に取り組んでしまうと僕たち一般庶民は一生お金持ちになることができません。
大事なのは、まず法整備をしてその次に最低賃金をあげることなのだと強く感じました。
補足
補足として、西武のヨドバシカメラ売却問題を取り上げます。
西武のヨドバシカメラ売却問題
この本には、消えていく仕事として「待ちの営業をしている販売員」が取り上げられていました。
そして、2023年8月31日に池袋の西武百貨店で労働者によるストライキが行われました。
事業売却によって雇用を脅かされた従業員がストライキを実施したのです。
本の中で予言されていたことが、実際に起こったのです。
背景は日テレさんが解説されています。
この件に関して、現時点の僕は渡邉さんと同意見です。
https://x.com/masa_mynews/status/1697466213918724199?s=20
理想を言えば、雇用の形態は価値を産める方へシフトしていかなくてはいけません。
問題は、失業した個人をいかに保護できるかだと思います。
現在日本には雇用保険がありますが、支給される条件や期限がある以上、十分ではないと思います。
実現が難しいことを承知で言うと、現金給付的な形「ベーシックインカム」的なものを導入することが一つの解決策かとも思いました。
弱っている会社を保護するのではなく、弱っている個人を保護する。
そうすることで、社会全体の労働生産性が向上しみんなが豊かになる。
弱っている会社を補助して無理やり延命させることは、誰もハッピーにならないと思うのです。
痛みを伴いますが、より良い方へ改善していかなくてはいけません。
まさに、
No pain, no gain
です。
PIVOTの動画
この本と同じテーマで議論が展開されていて面白い動画があったので紹介します。
前編
後編
おわりに
渡邉さんの本は、取材に基づいて考えられた事柄がふんだんに盛り込まれています。
僕は、頭の中で消化するのに時間がかかってしまいましたが、読んで良かったと思っています。
今回紹介した内容以外にも、日本のコンビニでレジを通らずに買い物ができる「ウォークスルー店舗」がなぜ普及しないのかなども解説されています。
【著作権者(著者、訳者、出版社)の方へ】
当記事では、本が好きという方に対して面白い本を紹介することを目的としています。
書籍上の表現をそのまま使うのではなく、自分の言葉で描き直すように心がけています。
また、本に対してネガティブな印象を与えないことはもちろん、ポジティブな印象を与えられるように記事を執筆しています。
しかし、万が一行き届かない点があり、記事の削除を望む所有者様がいましたら、お手数ですが、
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までご連絡いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いします。
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